焦点:FRBが年内利下げ見通し維持、株式市場の「軟着陸」期待高まる
ロイター / 2024年3月21日 15時13分
米FRBは2024年の経済成長率予測を引き上げたにもかかわらず、年内の利下げ見通しを維持した。経済の「ソフトランディング(軟着陸)」を期待して株式を買い込んでいた投資家にとって心強いメッセージとなっている。写真はニューヨーク証券取引所で20日撮影(2024年 ロイター/Brendan McDermid)
Lewis Krauskopf Davide Barbuscia David Randall
[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は2024年の経済成長率予測を引き上げたにもかかわらず、年内の利下げ見通しを維持した。経済の「ソフトランディング(軟着陸)」を期待して株式を買い込んでいた投資家にとって心強いメッセージとなっている。
ここ数週間、株価は上昇を続けていたものの、堅調な成長と根強いインフレを示すデータを受けて、FRBが今年どの程度の利下げに踏み切るかについて市場の期待が後退していた。
しかし、パウエルFRB議長は、経済の力強さを示す証拠が示されているものの、物価圧力が引き続き和らぐとするFRBの見通しを変えるものではないと述べた。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州アセットアロケーション担当責任者、ジェイソン・ドラホ氏は「利下げを望むFRBは、インフレが低下しており今後も低下し続けると信じている」と語った。
BofAグローバル・リサーチによる最近の調査ではファンドマネジャーの62%が経済の軟着陸を期待していると回答した。
ジョン・ハンコック・インベストメント・マネジメントの共同チーフ投資ストラテジスト、マシュー・ミスキン氏は「(FRBが)多少ホットなインフレを許容し、成長を再加速させることに前向きという見方を市場は気に入っていると思う」と指摘。自身のベンチマークと比較して米大型株をオーバーウエートにしているという。
UBSのドラホ氏は自身のポートフォリオについて、大型株に比べて小型株のポジションを通常より大きくしていると明かす。理由の一つは、米国経済が景気循環の終わりに向かうよりも始まりに近付いており、国内エクスポージャーが大きい企業の利益になると見ているためという。小型株中心のラッセル2000指数は年初から2.4%上昇している。
<懐疑論も>
とはいえ一部投資家は、基調的な経済の強さやインフレの粘着性を考慮すると、75bp(1回当たりの引き下げを25bpとした場合3回)の利下げをFRBが実現できるか疑問を抱いている。
エリック・ストゥルザ・インベストメンツ(スイス)の債券担当責任者、エリック・バンラエス氏は「私は懐疑的だ」とし、FRBの成長見通しについて「3回の利下げと全く一致していない」と述べた。
インフレを巡る厳しい状況が続くとの見方はFRBの見通しに反映されている。FRB当局者19人のうち9人が今年3回、9人が2回以下の利下げを予想。予想中央値よりも大幅な利下げを想定したのは1人のみで、12月時の5人から減少した。
abrdn(アバディーン)の北米債券担当責任者ジョン・モンディロ氏は、あと1人メンバーがいれば2回の利下げにシフトしていたことを忘れてはいけないと述べた。
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