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戦地ガザの子ども「ほぼ全員に精神的ケアが必要」 家族も笑顔も失った…ユニセフ報道官が見た過酷な現実

47NEWS / 2024年3月20日 11時0分

パレスチナ自治区ガザ中部デールバラハの病院に運ばれた負傷した子ども=2月(ゲッティ=共同)

 イスラエル軍が地上侵攻するパレスチナ自治区ガザでは、人口約210万人のうち約3万人が死亡し、死者の約70%が女性や子どもとみられている。約170万人が自宅を追われ、南部ラファなどで避難生活を送る。水や食料の不足のほか、衛生状態が極度に悪化し、感染症の報告も増えている。こうした物理的な人道状況の悪化に加え、深刻化するのが子どもたちのメンタルヘルス(心の健康)の問題だ。1月下旬にラファを訪れた国連児童基金(ユニセフ)パレスチナ事務所(東エルサレム)のジョナタン・クリックス報道官が、ガザの子どもたちの状況を語った。(共同通信エルサレム支局 平野雄吾)

 ▽「極度の不安」が心身圧迫

 1月24~29日、ガザ南部ラファを訪れました。ユニセフの主な活動の一つは精神的ケアのサポートです。私たちは昨年10月7日の戦闘開始以前、ガザでは約50万人の子どもが精神的ケアを必要としていると推定していました。ガザでは、これまでも度重なる戦闘があったためです。しかし、今回の戦闘開始後、その数は急増し、現在では約100万人いる子どもたちのほぼ全員が精神的ケアを必要とする状況にあると認識しています。


 例えば、私がラファで会った子どもたちの中には、夜眠れない、食欲がない、おねしょをしてしまうなどの症状を訴える少年少女が多くいました。彼らの多くは何人も友人を失い、あるいは父親や母親、もしくは両親を亡くしています。極度の不安が彼らを襲っており、不眠や食欲不振、おねしょはそうした不安の兆候です。私がラファにいたときにも付近に空爆があり、建物が振動で揺れると、子どもたちは跳びはねるのです。子どもの精神状況を考えると、とても深刻な事態になっています。


インタビューに応じるジョナタン・クリックス氏=2月、エルサレムのユニセフ事務所(共同)

 ユニセフはこうした子どもたちの精神的ケアを支援するため、レクリエーション活動をしています。地元の提携団体と協力し、現在は避難所となっている学校でお絵かきや合唱、ダンスをします。現在の厳しい状況から少しでも離れさせる、いわば「子どもに戻る時間」をつくる活動とも言えます。レクリエーション活動はのべ4万人にしか提供できていませんが、わずかな時間でも子どもたちが笑顔を取り戻すことはとても重要です。こうした活動を通じて、精神状態がより深刻な子どもたちを見つけ、さらに個別のケアにつなげることもできます。


国連児童基金(ユニセフ)のレクリエーション活動に参加し、笑顔を見せる子どもたちとジョナタン・クリックス氏(右端)=1月下旬、パレスチナ自治区ガザ南部ラファ(ユニセフ提供、共同)

 レクリエーション活動に参加した子どもの中には、11歳の少女がいました。家が空爆され、父親と母親、きょうだい3人が死亡し、彼女だけが生き延びましたが、彼女自身も負傷して左脚を切断、現在は松葉づえでの生活を余儀なくされています。ガザにはこうした子どもたちが多いのです。


国連児童基金(ユニセフ)が実施するレクリエーション活動に参加する子どもたち=1月下旬、パレスチナ自治区ガザ南部ラファ(ユニセフ提供、共同)

 ▽深刻な水不足、感染症拡大も

 もう一つ、ユニセフが実施している活動で重要なのは家族再統合の支援です。今回の戦闘で約1万7千人の子どもが保護者を失ったと推定されています。ユニセフは、そうした子どもたちが祖父母やいとこ、おじやおばら親族と一緒に暮らせるように支援しています。ただ、親族も現在、自分たちの生活で手いっぱいで、新たに子どもを養うのは厳しい状況にあるのもまた事実です。


パレスチナ自治区ガザ南部ラファで、ボトルに水を入れた子どもら=2月(ゲッティ=共同)

 ラファで移動するとき、目につくのは空き地や路地に広がる簡易テントです。親族や友人宅のほか、学校に避難する市民も多数いますが、居場所を見つけられない市民は自らテントを設置して避難生活を送っています。食料や安全な水が極度に不足し、例えばトイレは500~700人に1基しかありません。水不足は深刻で、下痢の症状を訴えるなど感染症が拡大しています。しかも通常ならば医療機関で治療してもらいますが、ガザでは医療機関も部分的にしか機能しておらず、こうした医療機関での優先患者は攻撃でけがをするなど緊急度の高い負傷者で、下痢患者などは診てもらえません。


イスラエル軍の攻撃で負傷し、病院に搬送された子どもたち=2月、パレスチナ自治区ガザ中部デールバラハ(ゲッティ=共同)

 ユニセフは防寒対策として靴やジャケット、セーター、毛布などを配布するほか、せっけんをはじめ衛生用品も配っています。これ以上の病気のまん延を阻止しなければなりません。ガザでは、新たに生まれる命も多く、粉ミルクや妊婦用のサプリメントなども必要です。乳児用の予防接種ワクチンも搬入しましたが、数が足りません。とにかく、一刻も早く停戦し悪化する人道状況を改善しなければならないのです。


パレスチナ自治区ガザ南部ラファで、食料の配給を待つ子どもら=2月(ゲッティ=共同)

    ×    ×    ×

 ジョナタン・クリックス(JONATHAN・CRICKX)
 1976年、ベルギー東部リエージュ生まれ。ベルギーのフランス語公共放送RTBFで勤務後、ユニセフエジプト事務所を経て2023年2月から現職。

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