カーボンニュートラルに向けたホンダのハイブリッドスクーター 「PCX e:HEV」に将来のモーターサイクル像を感じる!!

バイクのニュース / 2021年2月10日 11時0分

フレームとエンジンを刷新した人気のスクーター、ホンダ「PCX」シリーズには、ハイブリッドモデル「PCX e:HEV」も用意されています。ガソリンエンジンと電動の良いトコ取りのハイブリッドには、大きな期待が持てます。

■意外や目前に迫る、ガソリン車の新車販売禁止

 ホンダの原付2種スクーター「PCX」(排気量124cc)をハイブリッド化した「PCX e:HEV(イー・エイチ・イー・ブイ)」に、将来のモーターサイクル像を感じてなりません。リチウムイオンバッテリーをエネルギー源として、エンジンの始動や発電を担っているACGスターターに駆動アシストの機能を追加するという、いたってシンプルなハイブリッドシステムです。カーボンニュートラルへ向け、現段階ではもっとも有力で、多角的なバランスに優れたモデルだと思います。

 イギリスやフランス、中国など世界各国で一定の年限を区切って新車販売の脱ガソリン車、EV(Electric Vehicle:電気自動車)などへの切り替えを表明しているのはご承知の通り。東京都もまた「ゼロエミッション東京戦略」で二酸化炭素の排出量を2050年までに実質ゼロとする計画を示し、乗用車は2030年までに、2輪車は2035年までにガソリン車の新車販売をゼロにすることを目指すと表明しています。

 早過ぎるという声もある中、2025年にはノルウェーがエンジン車販売禁止措置を施行。たった4年後に時期尚早では……と思うなかれ、なんと2020年の時点で新車販売の電気自動車比率は54.3%にも達していて、ノルウェー電気自動車協会は2021年にはEVのシェアが65%を上回ると予測しているのです。

■問題は、航続距離の短さ

 電動化となったとき、問題はやはり航続距離でしょう。クルマではコンパクトEVとして2020年10月30日に新発売された「Honda e(ホンダ・イー)」(税込価格451万円)は、カタログ値で308kmを走行可能。この距離が許容範囲かどうかの議論は別として、2輪車と比較して大きなバッテリーが搭載できる4輪車のEV化はまだ現実的で、スペース的に厳しいバイクの電動化は、そう容易くありません。

ホンダ「PCX e:HEV」カラー:パールジャスミンホワイト

 だからと言って、バイクメーカーとしては「将来的には……」などと素知らぬフリは当然できず、ホンダやヤマハは近距離走行を前提とした小型スクーターを電動化。郵政の配達バイクに採用されるなど(ホンダ「BENLY e:」シリーズ)、普及に向けて着実に歩を進めています。

 しかし、いま乗っているガソリンエンジン車を基準に考えるのがユーザーの心理というもの。充電はガソリンスタンドの給油より手間と時間がかかり、航続可能距離は圧倒的に短い。そもそもEVは車両本体価格が高く、なくならない限りはガソリン車に乗り続けると考える人が多いのは明らかです。

■現実的な選択となるであろうハイブリッド

 つまり、電動バイクはいま発売しても、大ヒットは見込めない商品とも言えなくありません。そんななか、カーボンニュートラルに本腰を入れてきたと感じるのがホンダです。クルマがそうであったように、エンジン&電動モーターのハイブリッドで市場を開拓します。

「PCX」と比較しても外観からパワーユニットに何か特別な装置が備わっているようには見えない。パッと見での違いは車体デザインやモデル名、それにハンドルスイッチ程度

「PCX e:HEV」の税込価格は44万8800円で、ベースとなる「PCX」の35万7500円より9万1300円高くなります(税込価格比)。価格的には競争力がまだ足りませんが、モーターアシストにより機敏なスロットルレスポンスを得る走りは大きな魅力。4輪車より趣味性の強いバイクでは、まずライディングが楽しくないとユーザーの嗜好に合いません。その点で、モーターアシストはとくに小排気量エンジンで強く恩恵を感じ、125ccモデルから採用したホンダは流石としか言いようがありません。

 モーターのアシスト力は、走行状況やライダーの好みに合わせて変更できる2つのモードが設定され、「Dモード」では快適な走行と適度なアシストを両立し、低燃費に寄与。「Sモード」ではアシストを強め、走りがより力強くなります。

 2021年1月28日に発売した新型「PCX e:HEV」では、クルマと同じ「e:HEV」を名乗り、今後バイクでもハイブリッドがシリーズ化されることを期待せずにはいられません。同じ原2クラスには、2021年モデルでSOHC2バルブだったエンジンをDOHC4バルブ化する新型ネイキッドモデル「CB125R」もあり、ハイブリッド化を想像するとワクワクするではありませんか。内燃機エンジンの素晴らしさを残しつつ電動モーターによるメリットもたくさんあり、ぜひロードスポーツモデルでそれを体感してみたいものです。

 また、カワサキでもハイブリッドモデルの開発を進めていることを発表。こちらは、より大きなモデルであることが考えられ、もしや近い将来、バイクのラインナップに数多くのハイブリッド車が並ぶことも夢ではないのかもしれません。

デザインを共通とする「PCX」シリーズ。「PCX e:HEV」(写真左)/「PCX160」(写真手前)/「PCX」(写真奥)

 新車販売の脱ガソリン車を表明している国々では、EVだけでなくハイブリッドもOKとしていますから、バイクではまず先に目指すところなのではないでしょうか。

 そして、量産2輪車用として世界初のハイブリッドシステムを採用した「PCX」のハイブリッドは、時代を変えたエポックメイキングなモデルだったと、いまより多くの称賛を得ているかもしれません。

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