原付よりも自転車の方が速く走れるケースも？自転車には法定速度がない

30km／hの法定最高速度がある原付は、しばしば自転車よりも遅いと言われてしまうことも。自転車が原付よりも速く走れるというのは本当なのでしょうか。

■法的には原付より自転車の方が速い？ただし飛ばしすぎは危険......!

　道路交通法におけるバイクの区分は、大型、普通、原付の3種類。そのなかでも50cc以下のバイクである「原付」は、普通免許を持っていれば運転できることや、普通免許がなくても筆記試験のみで免許の取得が可能なことで有名です。

原付一種は、二段階右折30km／hの法定最高速度30km／hなどの制限が厳しい

　気軽に楽しめるバイクとして多くの人に親しまれている原付一種ですが、その分二段階右折などの制限は厳しくなっています。そんな制限のひとつが30km／hの法定最高速度。原付は自転車よりも遅いと揶揄されてしまうことも。

　たしかに、自転車には法定最高速度はありません。本気で自転車を漕げば30km／h以上のスピードを出すことのできる人は少なくないでしょう。

　ただし、法定最高速度の指定がない自転車であれば、好き勝手なスピードで公道を走行することができるわけではありません。それは、公道には指定最高速度があるため。

　我々が公道で守るべき最高速度には「法定最高速度」と「指定最高速度」の2種類があります。

法定最高速度は、一般道において、原付一種の場合30km／h、バイクやクルマのような自動車の場合60km／h、緊急自動車の場合で80km／hと定められている

　前者の法定最高速度とは、文字通り道路交通法によって定められた最高速度。具体的には、一般道において、原付一種の場合30km／h、バイクやクルマのような自動車の場合60km／h、緊急自動車の場合で80km／hと定められています。

　例えば、標識によって制限速度が示されていない道路でも、バイクやクルマはこの法定最高速度を守って運転する必要があります。ただし、先述の通り自転車に関する法定速度は定められていません。

　次に、後者の指定最高速度というのは、標識や道路標示によって指定される最高速度のこと。生活道路や、カーブの多い道路では30から40km／に、幹線道路では50km／hに制限されることが多くなっています。

　なお、法定最高速度が30km／hの原付一種は、指定最高速度がそれ以上の道路でも、法定速度以下で走行しなければなりません。

　この指定最高速度については、自転車であっても遵守する必要があります。しかし指定最高速度が40km／hや50km／hの道路では、法定最高速度のない自転車は原付よりも速く走ることが可能です。

　また、指定最高速度のない道路では、自転車は何キロで走っても速度超過にはなりません。

速度を出して走った場合、自転車は道路交通法第70条「安全運転の義務」に抵触する恐れがある

　速く走ることを目的として設計された自転車であるロードバイクに乗る人であれば、40km／hで走ることも不可能ではありません。また、競輪選手がゴール前でラストスパートをかける際の速度は70km／hにも迫ると言われています。

　ただし、実際にそれほどの速度を出して走った場合、道路交通法第70条「安全運転の義務」に抵触する恐れがあります。

　道路交通法の条文には、「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない 」と明記されています。

　具体的な速度は明記されていないものの、制動が間に合わずに事故を起こしてしまった時などに安全運転義務違反で取り締まられてしまう可能性がないとは言えません。

　また、下り坂などでは、速い速度を出すことが想定されていない自転車でも自動車並みの速度を出すことができてしまいます。カーブで曲がりきれない、突然目に入った障害物を避けきれない、といった事故につながる恐れも十分にあるでしょう。

　自転車には法定速度がないとはいえ、常識的な範囲を超えたスピードでの走行は大変危険。安全に運転できる速度での走行を心がけましょう。