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「ウルトラマンアーク」辻本貴則、メイン監督で実現した“3分ノーカット”演出 ニュージェネと歩んだ紆余曲折の11年間

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年7月6日 10時0分

 初参加となった「X」の頃は、どういった意識で監督していたのだろうか。「あの頃は、円谷プロの現場は初めてだったので、見様見真似と、皆さんの顔色をうかがいながらやっていたところがありました。作品を重ねる毎にそれがだんだん減り、“新しいことをやらなければ”という貪欲さが増していきました」

 シリーズが続き、助監督から監督に昇進する者もいれば、各話監督からメイン監督に抜てきされる者もいる。特にメイン監督は、キャラクターイメージや作品世界の構築など、作品の基本線を提示する重要な役割となり、注目度も高い。「ウルトラマンアーク」でも、4月6日の第一報で発表されたキャスト&スタッフは、主演の戸塚勇輝と他ならぬ辻本監督であった。ファンの間でも「次のウルトラマンのメイン監督は誰だ?」としばしば話題にあがる、いわば“花形職種”であるが、辻本監督がウルトラマンシリーズのメイン監督を意識するまでには、紆余曲折、そして葛藤もあった。

 「僕は40代でウルトラマンに参加しているし、メイン監督の大変さもわかります。何より実力を発揮できなくて、次から呼ばれなくなる悲しい結果が待ち受けている可能性もあるわけです。それであれば、迂闊にも自分から『メイン監督をやりたい』なんて言い出さない方がいい。もちろんやりたいと言ってやれるものでもないけど、そう思っていた時期もありました」

 特にテレビシリーズの場合は、監督としてクリエイティビティーを発揮するのはもちろんのこと、決められたスケジュール通りに撮影を終えることが絶対条件となる。「僕は監督として、けっこう粘るタイプなんです。『ウルトラマンX』の時は最初だったこともあり、日数に収めるのがけっこう大変で、日没が迫る中、慌てて撮らなくちゃいけない、といったこともありました。当然、そういったカットには悔いが残るものなんです」と監督としての采配の拙さに忸怩(じくじ)たる思いをしたという。

「ウルトラマンR/B(ルーブ)」で見出した自身の方向性

 シリーズ自体は「X」の後、「ウルトラマンオーブ」(2016)、「ウルトラマンジード」(2017)と続くが、辻本監督は『バイオハザード:ヴェンデッタ』の制作に取り掛かっていたことから、この2作品には参加してない。その後、「ウルトラマンR/B(ルーブ)」(2018)で2年ぶりにウルトラの現場に戻って来た。「気付いたら呼ばれなくなっていたので(笑)、自分からチーフプロデュサーの北浦嗣巳さんに連絡して、ウルトラマンシリーズへの復帰が叶いました」と忌憚(きたん)なく事情を明かす。一度断ると仕事が続かなくなるのは、フリーランスである以上、どこにでもある話だ。

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