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「ウルトラマンアーク」辻本貴則、メイン監督で実現した“3分ノーカット”演出 ニュージェネと歩んだ紆余曲折の11年間

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年7月6日 10時0分

 その「R/B(ルーブ)」が、辻本監督にとって一つの転機になったという。「復帰した際に『X』での苦い経験もあったので、きちんと撮り切ることもテーマにしなければダメだなと。実はこの頃になると『X』よりも与えられた撮影日数が少なかったのですが、それでもちゃんとスケジュール通りに撮り終えることができた。そこで、やりようによってはやれるんだなと自信に繋がりました」

 「R/B(ルーブ)」では、特撮演出においても自身の中で一つの方向性を見出すことができたと胸を張る。「ネロンガが登場した回(第16話『この瞬間が絆』)で、路地裏をネロンガが通過するカットを撮ったのですが、路地の手前に置いたゴミ袋やポリのゴミ箱が歩いた振動で揺れ、さらにパイプが破裂して蒸気が噴き出すというのを1カットでやったんです。そのときに自分の中に電撃が走り、『あ、俺がやりたかったのはこれだ!』と手応えを感じました」

メイン監督を意識した瞬間

 続く「ウルトラマンタイガ」(2018)において、辻本監督は明確にメイン監督のポジションを意識し始める。「『タイガ』を撮影していた頃、田口さんが、次回作『ウルトラマンZ』の打ち合わせをしているのを見たことがあって、近くにいた村山和之プロデューサーから『辻本さんって、メイン監督やる気あるの?』と言われて、『あるっちゃありますよ』と答えて、1~2時間話したことがあったんです。やっぱり人と話すと、自分では気づいてないことに気付かされたりもするじゃないですか」。それこそが、初めて「自分が撮りたいウルトラマン」を意識した瞬間であったという。「『R/B(ルーブ)』で細かく飾ったミニチュアセットを丁寧に撮るという、自分の道を見つけることができたから、余計にそう思えるようになった気がします。今振り返ると、それまでは、ただ模倣しているだけというか、『特撮ってこうだよね』と漠然とやっていた自分がどこかにいましたね」

 辻本監督の場合、「オーブ」「ジード」と2作品間が空いているとはいえ、鮮度を落とさず、クオリティーを維持しながら、シリーズを撮り続けるのは多大な苦労を伴う。「毎年、これだと思えるアイデアが浮かんできた」という辻本監督だが、ここ数年は引き出しが枯渇しつつあるのを痛感していたという。「撮影方法などベーシックな部分は一緒で、その中でいろいろなアレンジを加えるんですけど、さすがにアレンジ力も効かなくなってきた」と心中を吐露する。そんな中、北浦プロデューサーからの指名で「ウルトラマンデッカー」(2022)の第6話「地底怪獣現わる!現わる!」では、LEDウォールを使った特撮に取り組んだ。多数の怪獣がひしめく地底世界を、一部合成を使いつつも、LEDウォールの背景を用いた一発撮りで描いて見せたが、これはNHK大河ドラマ「どうする家康」(2023年)や、東映特撮「王様戦隊キングオージャー」(2023~2024)に先駆けての挑戦であった。

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