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「トップシェフ」優勝シェフが表現する“クラシックへのオマージュ” 「遊び心のある新しいクラシック」

CREA WEB / 2024年4月13日 7時0分

 食の都・パリを牽引する名門ホテルのメインダイニングは、受け継がれてきた技術と革新的な感性を備えたスターシェフたちの“作品”に魅せられる場所。

 その優美なガストロノミーを皮切りに、今行くべきグルマンの旅を案内する。

 4回に渡り、名門ホテルのメインダイニングとそのホテルをご紹介。


古典フレンチの奥深さを表現

◆Jean Imbert au Plaza Athénée(ジャン・アンベール・オ・プラザ・アテネ)


“ザ・ブリオッシュ・アントワネット・キャビア” 148ユーロ。キャビアのほどよい塩味がブリオッシュのバターの香りを際立たせた一品。ヴェルモットが入った甘みをコンセプトにしたソースが絶妙なバランスをとっている。

 アラン・デュカスの後任としてシェフに就任したのがジャン・アンベール氏。

 料理のリアリティ番組「トップシェフ」の優勝者として注目を浴びていた彼が表現するのは“クラシックへのオマージュ”だった。


各テーブルに置かれた赤いランプシェードがクラシカルな雰囲気に。

 約250年前に書かれたレシピやエスコフィエの料理本を紐解き、埋もれてしまっている古典料理を掘り起こすといった研究心で自身の世界観を構築。


エレガントな紋章が入ったテーブルクロス。ヴェルサイユ宮殿の晩餐会をイメージし、グラス、カトラリーすべてが選び抜かれている。食事はゲスト全員が同時刻にスタートするスタイル。

「何世紀にもわたってモダンで、遊び心を忘れない伝統料理に敬意を表したい」という思いがそこにはあった。


ゲストのサーブに使われるワゴンもアンティーク調。室内のライティングを含めて、各分野のスペシャリストと組み、緻密にコーディネートされている。

 例えば、前菜の“ザ・ブリオッシュ・アントワネット・キャビア”はパン不足に不満を持った民衆たちに「パンがないならブリオッシュを食べればいいじゃない」と言った話から着想。

 伝統的な料理に物語を添えて、ゲストを楽しませるアイディアに溢れている。


ブランデーケーキのようなお酒の華やかさが広がる“ジ・アンバサダー”。デザートの盛り合わせ48ユーロの一つ。

 料理だけでなく、インテリア、テーブルセッティング、サービススタッフの制服、メニューのデザインにいたるまでマリー・アントワネット時代をイメージしてコーディネート。


一尾丸ごと使ったロブスター“ア・ラメリケーヌ” 130ユーロ。別皿でインディカ米が添えられソースと一緒に味わう。

 デザートが出されるときは呼び鈴が鳴りガラス扉が上がりパティスリーシェフが登場するといった演出で、エンターテインメント性のあるひとときが過ごせる。伝統と新しさが相乗効果となったスペシャルな体験を。


オリジナルデザインのメニュー。料理人たちがイラストで描かれていて、その中にはジャン・アンベールシェフの姿も。


Jean Imbert(ジャン・アンベール)

1981年生まれ。2021年にホテル・プラザ・アテネの総料理長に就任。2023年よりカンヌのホテルマルティネスのレストランにも携わる。

Jean Imbert au Plaza Athénée(ジャン・アンベール・オ・プラザ・アテネ)

所在地 25 Avenue Montaigne 75008 Paris
電話番号 01 87 16 44 60
営業時間 12:30~14:15(土曜のみ営業)、19:15~22:15
定休日 日・月曜
https://www.dorchestercollection.com/paris/hotel-plaza-athenee

美食と至福のロケーション

◆Hôtel Plaza Athénée(ホテル・プラザ・アテネ)


赤い庇がロマンティックな建物はアール・ヌーヴォー建築。

 モンテーニュ通りに1913年に誕生したホテル・プラザ・アテネは、同時期に隣にオープンしたシャンゼリゼ劇場からの作曲家、演劇関係者たちが訪れ、華やかな社交場となっていた。

 時を経て2013年には大改装のため休業し翌年リニューアルオープン。


宮殿をイメージしてデザインされた“オート・クチュール・エッフェル・スイート”。

 レストランはアラン・デュカスによる大地と自然に重きを置いたガストロノミーで再出発を果たし、2021年からはジャン・アンベールが着任し新たな世界観を生み出している。


アール・デコ調の“テラス・デュプレックス・スイート”。

 パリ屈指の美食に加えて、客室は宮殿を思わせる華やかなるインテリア。

 208ある部屋のほとんどにはバルコニーがあり、エッフェル塔が真近に見られるロケーションに心躍る。


蔦が絡まる建物に囲まれた中庭。

 パリのエッセンスに包まれたパラスホテルの魅力に浸ってほしい。


カフェやバーとして利用できる「ラ・ギャルリー」。

Hôtel Plaza Athénée(ホテル・プラザ・アテネ)

所在地 25 Avenue Montaigne 75008 Paris
電話番号 01 53 67 66 65
客室数 208室
料金(1室)2,000ユーロ~
https://dorchestercollection.com/paris/hotel-plaza-athenee

文=梅崎奈津子
撮影=小野祐次
コーディネート=田中敦子

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