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アンケート調査で判明! 食品スーパーのアプリ・ポイントカード活用の現在地

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年4月17日 20時59分

milindri/istock

2024年3月12日~15日の4日間、東京ビッグサイトにて「リテールテックJAPAN 2024 / SECURITY SHOW 2024」(日本経済新聞社主催)が開催され、前年を約1万人上回る来場者(8万954人)で賑わった。その会場内でのリテールテックJAPANセミナーとして、アパレル、ドラッグストア、ホームセンターなどを中心に、リテール関係の顧客とのタッチポイントを構築・運用していくアプリのプラットフォームを開発するメグリ(東京都)のMGReセールス・磯崎幸一氏による「アンケートから見えてきた、チェーンストアアプリと顧客データ活用の今」と題する出展者ワークショップが行われた。

リテールテックJAPAN 2024 / SECURITY SHOW 2024の会場の様子

 ワークショップでは、GMSと食品スーパー(以下、SMと表記)の経営者・マネージャー層・従業員および、地方SMなどでポイントカードを作成したことのある子育て世代(30代・40代)の専業主婦のそれぞれ対象に、同社が独自に実施したインターネット調査の結果をもとに、SMにおけるアプリ運用の現状と課題が示された。

 まず、20店舗以上チェーン展開しているSMを対象に、「ポイントカードなどの会員制度がどの程度運用されているか」を聞いたところ、約8割が「自社会員制度がある」と回答。共通ポイント(楽天ポイントやTポイントなど)のみが9%程度、「していない」というところも10%超あった。「していない」ところはディスカウント系が集中している。

 では、消費者は小売業の会員カードをどう考えているのだろうか。

 30代・40代の専業主婦の7割ほどが「紙/プラスチックなど実物のポイントカードの利用に関して、不便を感じたことがある」と回答。その理由として「財布がかさばってしまう」(92.0%)、「カードの持参忘れでポイントをつけてもらえなかった」(62.7%)が上位にあがっている。この点に関しては会員証をスマホアプリに入れることで解決するのだが、SMなどの場合、物理カードのみの運用になっているところが半数近くあるというのが現状だ。

 またアプリでの運用を行っているところでも、その利用開始にストレスを感じている専業主婦が多いのだという。

 同社の調査では、アプリで利用するにも関わらず、その会員登録のために店舗まで足を運び、申込用紙に記入する必要があるというところが半数を占めるという結果になった。それでも会員登録までたどり着けばよいが、登録手続きが面倒なため「会員登録をやめた」経験がある人が相当数いるということも明らかになっている。

 磯崎氏は「アプリ会員は顧客データ収集の入り口。顧客に気持ちよくデータを提供してもらう環境をつくるには、ストレスなくアプリの会員証をつくってもらうことが重要。そして、そのうえで使い続けてもらうことを、SMの担当者は考えていくべきだ」と語っている。

顧客データをビジネスにどう生かすか

 次に会員制度によって収集した顧客のデータを、SMではどう活用できているのか。

 同社が実施した「スーパーのポイントカード運用に関する実態調査」では「ポイントカード、会員アプリ、ID-POSなどを通じて取得できる顧客軸の行動、購買データの収集・活用度合いを、LEVEL1~5で示すとどの段階か」を聞いている。

 LEVEL1は「会員制度が顧客に十分に認知されておらず、顧客データが思うように取得できていない」、LEVEL2は「ポイントカード会員は獲得できているが、データの分析や活用は十分にできていない」、LEVEL3「取得した会員の属性や行動、購買のデータを分析し、顧客軸の購買傾向や志向を把握している」。

 LEVEL4は「会員顧客はデータに基づいて分析され、分析結果に基づいた販促施策や店舗づくりを行っている」で、最高位のLEVEL5では「会員顧客データが新しい顧客体験の提供や商品開発、従業員スタッフの生産性向上などさまざまな施策に活用されている」とした。

 結果としては、LEVEL3までにとどまっている企業が全体の5割程度を占め、LEVEL4・5が25%程度。「残りの2割強は『実態がわからない』という残念な回答になった」(磯崎氏)

 「運用効果として当てはまるものは」(複数回答)との問いに対しては、「来店頻度の維持・向上」(67.8%)、「客単価の維持・増加」(52.8%)、「常連客の離反防止」(47.2%)が上位に並び、今後活用していきたいテーマとして(複数回答)、「チラシ、販促の改善」(59.4%)、「店への愛顧度」(42.5%)、「メーカー各社とのデータ共有による売場活用の最大化」(40.6%)が上位にきている。

 また「顧客軸のデータ収集と活用」に関する施策を推進するうえでの課題(複数回答)について聞いたところ、「組織の整備や人材の不足」(50.0%)、「多額の投資が必要」(44.7%)、「経営層や意思決定者の納得を得ることが難しい」(35.1%)という回答が上位を占めた。

 これらの結果を踏まえ、磯崎氏は次のように分析する。

 「ポイントカード運用により、顧客を囲い込むという販促施策を実施できているところは少なくない。しかしそこで満足していては、アプリ会員獲得による効果は限定的なままだ。会員証を提示してもらって、顧客の行動状況、購買情報を集め、どんなお客が、どういう理由で、自店で買物をしているのか。そういったことを理解し、全社施策に生かしていくことが大切なのではないか」

 アプリから得られる顧客データは、「エンゲージメントを高めていく(=顧客の囲い込み)」ことはもちろん、「店への愛顧度に比例した顧客へのサービス提供や利益還元」や「売価の適正化による売上・利益の改善」、「需要予測をし、従業員の適正配置や自動発注に生かす」こともできるし、「リテールメディアなど広告ビジネスの展開」、「ノウハウやシステムのサービス化による他の小売業への外販」といった、さまざまな効用を期待できるソースだ。

メグリの磯崎幸一氏は小売業の顧客データ活用について、3つのポイントを挙げる

 今回のワークショップのまとめとして、磯崎氏は以下の3点をあげた。

1)会員制度は普及しているが、顧客軸のデータ収集にはストレスのない顧客体験が必要

2)顧客軸のデータ活用推進は全社的に進む
*経営層の巻き込みも含めて、いろんな部署を巻き込んで取り組んでいるところが進んでいる

3)経営層の理解を得ながら一歩ずつ
*小さな課題をつぶし込んでいく、その積み重ねにより、ROIを理解していくことで、経営層の理解を得ていくことが重要

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