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高速でリアルタイムな光量子もつれ生成――従来の1000倍以上の高速量子相関が開拓する新時代――

Digital PR Platform / 2025年1月29日 19時0分


[画像1]https://digitalpr.jp/simg/2341/103177/500_179_202501291300266799a7da300a5.JPG


2.発表内容
研究の背景と課題
 複数の量子ビットの間では古典物理の理論で説明できない複雑な相関を持つことがあり、その特殊な相関を量子もつれと呼びます。量子技術の応用の多くはこの量子もつれが基本的なリソースとなっています。例えば量子計算や量子テレポーテーションでは、量子もつれとそれに対する測定を用いて、量子状態へのさまざまな操作が実現されます。また量子誤り訂正では、量子もつれによる量子相関をうまく用いることで、目的の量子情報を壊さずに誤りを検知・訂正することが可能となります。
 この量子もつれを評価するときは、量子もつれの純度に加えて、その生成速度も重要なパラメータとなります。特に量子計算や量子通信などの量子情報処理の応用においては、リアルタイムに高速な量子もつれを生成し測定する必要があります。この時間スケールは量子システムが用いる物理系のキャリア周波数によって決まっており、その中でも特に数百テラヘルツ(THz)のキャリア周波数を持つ光の系は、最も高速な量子もつれ生成が期待される物理系となっています。
 しかしながら、従来は技術的制約によって多くの光量子もつれは高々MHzオーダーに留まっており、実用に耐える高速性は実現されていませんでした。量子計算の応用では、生成速度が量子計算器のクロック周波数を制限するため、従来の生成速度では現状の古典コンピュータのクロック周波数であるGHzよりも遅い量子計算システムしか実現できませんでした。

本成果の内容
 今回の高速な量子もつれ生成及び測定のシステムは図2に示される通りです。この実験ではTHz帯域のOPAを光源として使用しました。またこの光源と、OPAを補助的に用いた超高速リアルタイム測定を組み合わせることで、超高速な量子もつれ生成及び測定を実現しました。測定で用いられたOPAは光源のOPAと全く同じタイプですが、測定においては光のある位相の振幅情報を劣化なく増幅するものとなっています。この増幅した信号を光通信用の高速受信器で測定する本手法は、東京大学とNTTの共同研究によって実験的に確立された技術となっています(関連情報1参照)。本研究では、複数台の高速測定システムの位相同期手法を新たに開発し、2者間の量子もつれ状態の高速リアルタイム測定に世界で初めて応用しました。これらの測定システムの同期には、NTTの有する特性のそろったOPAの安定作製技術が重要な役割を果たしています。

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