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【鳥取大学×東京薬科大学】ヒト染色体領域のクローニングを飛躍的に改善する技術を開発~マウス人工染色体を用いたヒトゲノム研究・創薬研究を加速~

Digital PR Platform / 2024年1月12日 14時5分



一方で研究グループは、ヒトiPS細胞が正常に近いゲノムと無限増殖能を持つことに着目し、MMCTのドナーとして利用することで、1回のMMCTでヒト染色体を単離することに成功しました。さらに、CRISPR/Cas9(注10)技術を用いてヒト染色体とMACを同時に切断し、染色体転座を引き起こすことによって、MAC上に目的のヒト染色体を搭載することに成功しました。上記二つの技術を組み合わせることで、MMCTの回数や染色体改変工程が削減され、ヒト染色体を搭載するMACの構築期間が1/2以下に短縮されました。

本研究で開発したヒト染色体を迅速にMACへと搭載する技術は、TCマウスの作製にかかる時間と労力を劇的に改善し、ヒト染色体機能の理解や創薬研究を大きく加速させるものと期待されています。

本研究成果は、東京薬科大学生命科学部、宇野愛海助教・冨塚一磨教授らとの共同研究で行われ、2024年1月5日(英国時間)にオックスフォード大学出版局によって発行される国際科学誌「NucleicAcidsResearch」で公開されました。



本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。
 戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)
 研究領域:「ゲノムスケールのDNA設計・合成による細胞制御技術の創出」
      (研究総括:塩見春彦慶應義塾大学医学部教授)
 研究課題名:「ヒト/マウス人工染色体を用いたゲノムライティングと応用」
 研究代表者:香月康宏(鳥取大学医学部生命科学科/染色体工学研究センター教授)
 研究期間:平成30年10月~令和6年3月

またAMED生命科学・創薬研究支援プロジェクト(BINDS)、AMED再生・細胞医療・遺伝子治療(基礎応用研究課題)、AMED先端バイオ事業、AMEDLEAP事業、生命創成探求センター共同研究(ExCELLS)などの支援を受けて行われました。

<研究の背景と経緯>
MACは、MMCTを介して細胞から細胞へ、あるいはモデル動物へと巨大な遺伝子・複数の遺伝子を導入できる画期的な運び手(ベクター)です。これまでに、様々なヒト染色体領域を搭載するMACを利用してトランスクロモソミック(TC)マウスが作製されてきました。TCマウスはヒト染色体に含まれるMb単位の大規模な遺伝情報のみならず、染色体レベルで制御されるヒト遺伝子の生理的発現を再現できます。これにより、BACやプラスミドベクター等を介して5〜200Kb程度の遺伝子を導入されて作製される一般的なトランスジェニック(TG)マウスに比較して、TCマウスはヒトに近い表現型を実現できるという特徴があります。また、ヒト染色体はそのままではマウス個体内で不安定ですが、MACへと搭載することで、マウス個体内で安定的に維持することが可能です。これらの利点から、ヒト染色体を搭載するMACを導入したTCマウスは、創薬ツールや疾患メカニズムの解明へ応用可能な独自技術として期待されています。

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