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長期宇宙滞在ミッションに伴うヒト血清プロテオーム変化を解明

Digital PR Platform / 2024年1月30日 14時0分

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 横浜市立大学先端医科学研究センター プロテオーム解析センター 木村弥生准教授、井野洋子特任助教、中居佑介共同研究員、大平宇志共同研究員、同大学院医学研究科 運動器病態学 熊谷研准教授、ライオン株式会社 江頭健二研究員らの研究グループは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などとの共同研究で、国際宇宙ステーション(ISS)での長期宇宙滞在ミッションに携わった宇宙飛行士の血清プロテオーム大規模解析を行いました。
 6人の宇宙飛行士から宇宙飛行前(3ポイント)、軌道上ISS滞在中(4ポイント)、宇宙飛行後(5ポイント)の計12ポイントで採取した血清について、包括的なヒト血清プロテオーム解析*1を行い、ISS滞在中および地球帰還後に生じる血清プロテオームプロファイル変化を明らかにしました。その結果、長期宇宙滞在ミッションに伴い変動するタンパク質を明らかにし、長期間の軌道上ISS滞在が生体内に及ぼす影響や生体内適応メカニズムを理解するための新たな知見を得ることができました。
 本研究成果は、科学雑誌「Proteomics」(令和6年1月7日オンライン版)に掲載されました。
 なお、本研究はJAXAの平成27年度「きぼう」利用フィジビリティスタディテーマ募集(国の戦略的研究募集区分)に採択され、ISS・「きぼう」を利用した骨粗鬆症に係わるタンパク質の臨床プロテオーム研究(Medical Proteomics)の一環として実施しました。
https://humans-in-space.jaxa.jp/kibouser/subject/life/70692.html
 


研究成果のポイント
・長期宇宙滞在ミッションに伴い、血清プロテオームプロファイルが変化することを明らかにした。
・長期宇宙滞在に伴い量的変動を示す血清タンパク質の中には、その影響が地球帰還直後に回復するタン
 パク質と、1ヶ月程度継続するタンパク質が存在する。
・血清COL1A1、ALPL、SPP1、POSTN量は、長期宇宙滞在ミッションによって誘発される宇宙飛行士の
 骨代謝の客観的指標としても役立つ可能性がある。


研究背景
 宇宙空間では、微小重力、宇宙放射線、高濃度二酸化炭素、閉鎖環境に伴うストレスなど、さまざまな要因によって健康な組織の機能が低下することがあり、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する多くの宇宙飛行士は、長期宇宙滞在ミッションに伴う様々なリスクに直面しています。しかし、宇宙飛行士の身体内において誘発される生物学的適応に関連するメカニズムは、ほとんど解明されていません。したがって、宇宙飛行がヒト体内に及ぼす影響を分子レベルで理解し、微小重力等への適応反応を抑制する対策を講じることは、長期の宇宙飛行ののち、地球外惑星に着陸するミッションを成功させるためにも不可欠です。
 血液は全身を循環し、様々な組織・細胞から分泌または放出されたタンパク質を多く含むため、血液中のタンパク質を網羅的に調べることで生体内の状態を推定することができます。そこで本研究では、宇宙飛行士から宇宙飛行前、軌道上ISS滞在中、さらには宇宙飛行後と経時的に血清を採取し、プロテオーム解析技術による網羅的な解析により、長期宇宙滞在ミッションに伴う血清タンパク質の量的変動を明らかにすることで、長期宇宙滞在ミッションの影響を受けた生体内組織・細胞に生じる様々な変化に関連するタンパク質を検出できると考えました。

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