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海洋の酸性化と貧酸素化の複合的な要素がシロギスの卵に及ぼす影響を明らかに 気候変動が水産資源に及ぼす影響評価--摂南大学

Digital PR Platform / 2024年2月1日 20時5分

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国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)地質情報研究部門の井口亮主任研究員、鈴木淳研究グループ長、依藤実樹子テクニカルスタッフ(元公益財団法人 海洋生物環境研究所(以下「海生研」という)研究員)、摂南大学農学部の國島大河講師(元産総研外来研究員)、海生研の林正裕主任研究員、国立研究開発法人 水産研究・教育機構の小埜恒夫主幹研究員らは、人為的な二酸化炭素排出の増加に伴い、世界的に進行している海洋酸性化と貧酸素化が、重要な水産資源の魚種であるシロギスの卵に対して複合的に及ぼす影響を、遺伝子レベルで明らかにしました。




ポイント
●海洋酸性化・貧酸素化の複合影響に対するシロギス卵の遺伝子発現を網羅的に評価した。
●遺伝子発現に対する貧酸素化の影響は海洋酸性化よりも顕著であった。
●気候変動による水産資源への影響を遺伝子レベルで解明した。



概 要 
 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)地質情報研究部門の井口亮主任研究員、鈴木淳研究グループ長、依藤実樹子テクニカルスタッフ(元公益財団法人 海洋生物環境研究所(以下「海生研」という)研究員)、摂南大学農学部の國島大河講師(元産総研外来研究員)、海生研の林正裕主任研究員、国立研究開発法人 水産研究・教育機構の小埜恒夫主幹研究員らは、人為的な二酸化炭素排出の増加に伴い、世界的に進行している海洋酸性化と貧酸素化が、重要な水産資源の魚種であるシロギスの卵に対して複合的に及ぼす影響を、遺伝子レベルで明らかにしました。特に貧酸素海水が深刻な影響を及ぼすこと、貧酸素条件区では解糖系※1に関わる遺伝子の発現が上昇して環境変化に対応していることが分かりました。本研究によって得られた成果は、気候変動による水産資源への影響を考える上で重要な知見となります。
 なお、この成果は、令和6年1月31日(現地時間)に国際学術誌「Science of the Total Environment」に掲載されました。


研究の社会的背景
 人為的な二酸化炭素排出の増加に伴う環境変化が、海洋生態系に及ぼす影響が懸念されています。地球温暖化・海洋酸性化に関しては、野外調査や飼育実験などの手法を通じて、海洋生物に与える影響は知見の蓄積が進んでいます。一方、近年では海洋の貧酸素化による影響も懸念され、温暖化・酸性化と合わせてDeadly Trio(死のトリオ)とも呼ばれていますが、これらが複合して海洋生態系に与える影響は未知な部分が多いのが現状です。これまで単一の影響に注目した評価は進んできましたが、複合影響評価、特に貧酸素海水にも着目した研究はほとんど行われてきませんでした。

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