1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

【東京薬科大学】膜タンパク質の細胞外領域相互作用を網羅的に解析できる新技術を開発--革新的な技術で創薬標的の不足を解消し、市販薬改良への手がかりも解析可能に--

Digital PR Platform / 2024年2月21日 14時5分

【東京薬科大学】膜タンパク質の細胞外領域相互作用を網羅的に解析できる新技術を開発--革新的な技術で創薬標的の不足を解消し、市販薬改良への手がかりも解析可能に--



・概要
愛媛大学プロテオサイエンスセンターの山田航大大学院生(博士課程後期1年)、澤崎達也教授、徳島大学先端酵素学研究所の小迫英尊教授、東京薬科大学生命科学部生命医科学科の土方敦司准教授、東北大学大学院医学系研究科の金子美華准教授、加藤幸成教授、長浜バイオ大学バイオデータサイエンス学科の白井剛教授らの研究グループは、膜タンパク質1)の細胞外領域の相互作用を同定する新しい技術の開発に成功しました。本技術は、愛媛大学が開発した新しい酵素を抗体2)に融合した分子を使用する技術としてFabIDと名付けられました。がん遺伝子である上皮成長因子受容体EGFR3)というタンパク質の解析をFabIDによって行ったところ、EGFRと相互作用する既知のタンパク質を標識できることがわかりました。また新規にEGFRと相互作用する複数のヒトタンパク質を新たに発見し、それらの相互作用がリガンドや薬剤依存的に変化することを世界で初めて見出しました。論文は、2023年12月14日にNature Communications誌に掲載されました。




1.背景
生体内の多くのタンパク質は他のタンパク質と複合体を形成し、細胞の運命を決定づけています。そのため、タンパク質間相互作用(PPI)4)の解析は、標的タンパク質の生物学的機能を理解するための重要なプロセスです。特に、膜タンパク質はヒト遺伝子の30%以上を占め、細胞機能に重要な役割を果たしています。膜タンパク質の多くは機能発揮のために、複合体を形成することが知られており、タンパク質の機能を理解するためには膜タンパク質のタンパク質間相互作⽤(PPI)の解明が重要です。しかし膜タンパク質のPPI、特に細胞外領域PPI(exPPI)5)を生きた細胞で解析できる技術の開発は遅れています。近年、近接したタンパク質を標識し、大規模にPPI解析を行える近接標識法が注目されています。しかし、膜タンパク質の細胞外領域を標的とした近接タンパク質標識法は、細胞毒性のある分子を用いたPPI解析が主流であり、生きた細胞を標的とした系の確立が求められてきました。

2.研究成果
愛媛大学プロテオサイエンスセンターでは独自に、近接するタンパク質のリジン残基をビオチン標識する酵素である近接依存性ビオチン標識酵素AirID6)(Kido, et al., eLife 2020)を開発しています。近接依存性ビオチン標識酵素をexPPIに使用した研究は以前にも数報ありましたが、遺伝子改変した本来の構造とは大きく異なるタンパク質形状での解析であり、解析結果が本来の相互作用をどの程度反映しているのか不明でした。生きた細胞膜上で起こっている相互作用を正確に理解するためには細胞が発現しているタンパク質を直接標的としてexPPI解析できる技術を開発する必要がありました。
そこで本研究グル―プは、膜タンパク質の細胞外ドメイン7)を認識する抗体の抗原認識部位にAirIDを融合させた分子(FabID)を作製することでexPPIを解析できると考えて研究を始めました(図1)。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください