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少し高い血圧でも脳・心血管疾患のリスクは2倍に

Digital PR Platform / 2024年4月11日 10時0分






研究内容
 J-ECOHスタディのデータを用いて、次のとおり調査を実施しました。
・対象:J-ECOHスタディ参加施設の労働者のうち、2011年度又は2010年度に職域定期健康診断を受診
 した高血圧の治療中ではない20~64歳 81,786人。
・追跡期間:最大9年間(2012年4月~2021年3月)
・血圧分類:2011年度または2010年度の血圧値を高血圧治療ガイドライン2019に基づき、以下の6群に
 分類しました。
  (1) 正常血圧(収縮期血圧 120 ㎜Hg未満かつ拡張期血圧 80 mmHg未満)
  (2) 正常高値血圧(収縮期血圧 120-129 mmHgかつ拡張期血圧 80 mmHg未満)
  (3) 高値血圧(収縮期血圧 130-139 mmHgかつ/または拡張期血圧 80-89 mmHg)
  (4) Ⅰ度高血圧(収縮期血圧 140-159 mmHgかつ/または拡張期血圧 90-99 mmHg)
  (5) Ⅱ度高血圧(収縮期血圧 160-179 mmHgかつ/または拡張期血圧 100-109 mmHg)
  (6) Ⅲ度高血圧(収縮期血圧 180 mmHg以上かつ/または拡張期血圧 110 mmHg以上)
・脳・心血管疾患発症の定義:コホート内で脳・心血管疾患、疾病休業、死亡の3種類の登録制度を構築
 し、これらの登録情報を用いて脳・心血管疾患の発症を定義しました。脳・心血管疾患は国際疾病分類
 (ICD-10)に基づいて分類し、次の疾患から定義しました。
 脳・心血管疾患:脳血管疾患(I60-I69)虚血性心疾患(I21-I25)、心停止(I46)、心房細動・不整
 脈・心不全(I48-I50)、大動脈瘤・大動脈解離・その他の動脈瘤・動脈解離(I71-I72)※脳卒中と
 心筋梗塞は発症を含むが、それ以外の疾患は長期病休また死亡に至ったケースのみを含む。
・統計解析:コックス比例ハザードモデルを用いてハザード比*3を算出し、血圧分類と脳・心血管疾患発
 症リスクの関連を検討しました。2011年度時点(一部は2010年)の企業、性別、年齢、喫煙、糖尿病
 脂質異常症、体格指数(Body mass index)を解析上で考慮し、これらの要因による影響をできるだけ
 取り除きました。各血圧区分が脳・心血管疾患発症に及ぼす影響を推計するために、集団寄与危険割
 合*4を算出しました。
 
 本研究の対象者約8万人の追跡期間中に334人が脳・心血管疾患を発症しました。血圧が高くなるほど脳・心血管疾患発症リスクは上昇し、正常血圧群を基準として、調整ハザード比は正常高値血圧群で1.98、高値血圧群で2.10、Ⅰ度高血圧群で3.48、Ⅱ度高血圧群で4.12、Ⅲ度高血圧群で7.81でした(図1)。集団寄与危険割合は高値血圧群が最も高く(17.8%)、それにⅠ度高血圧群(14.1%)、正常高値血圧群(8.2%)が続きました。一方、Ⅱ度高血圧(4.1%)やⅢ度高血圧(2.1%)の占める割合は低く、高値血圧群からⅠ度高血圧群までが集団寄与危険割合のほとんど(87%)を占めることもわかりました。これらの結果より、少し高い血圧(正常高値血圧)の段階から脳・心血管疾患発症リスクに対する取り組みが必要であることが明らかとなりました。

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