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ヒトiPS細胞由来の肝臓オルガノイド移植による革新的な肝線維化治療法の開発

Digital PR Platform / 2024年7月25日 8時30分

ヒトiPS細胞由来の肝臓オルガノイド移植による革新的な肝線維化治療法の開発

― 肝硬変に対する免疫制御を介した新規治療法―


発表のポイント


ヒトiPS細胞を用いて、肝類洞構造や胆管構造を有する大型化が可能な新規肝臓オルガノイドの創出技術を確立しました。
新規ヒトiPS細胞由来肝臓オルガノイド移植により、炎症抑制性マクロファージの誘導活性を介して、従来は治療困難であった肝線維化(肝硬変)の改善効果がもたらされることを世界で初めて発見しました。細胞・臓器の機能補助という従来の再生医療とは全く異なった革新的な治療コンセプトと治療戦略を提示しており、治療が困難な難治性疾患に対する画期的な新規治療の可能性を示唆するものです。
肝硬変は全世界で5000万人以上の罹患者が存在し、有効な治療法の開発が急務となっていますが、これまでに有効な治療法は確立されていません。本研究成果を臨床応用することにより、肝硬変に対する新規治療法の確立が期待されます。




[画像1]https://digitalpr.jp/simg/1706/92196/550_413_2024072414201466a08f0e683e3.jpg


ヒトiPS細胞由来肝臓オルガノイド移植による新たな肝線維化治療法の開発



発表概要

 東京大学医科学研究所再生医学分野の谷口英樹教授、横浜市立大学医学部臓器再生医学の田所友美助教らの研究グループは、ヒトiPS細胞由来の肝臓オルガノイド(注1) 移植による新たな肝線維化治療法の開発に成功しました。本治療法は、肝臓の線維化と密接に関わる炎症反応をオルガノイド移植により人為的に制御し、炎症抑制状態を誘導し得ることを示した画期的な研究成果です。この新技術を臨床応用することにより、肝硬変治療において大きなブレークスルーがもたらされることが期待されます。
 肝硬変は全世界で5000万人以上の患者が存在しており、今後も患者数が著明に増加することが予測されています。肝硬変の原因疾患は、B型肝炎やC型肝炎などのウイルス性感染症、代謝異常関連脂肪肝炎(Metabolic dysfunction-associated steatohepatitis:MASH)(注2)、アルコール性肝炎など多岐にわたっています。原因に関わらず肝線維化が進行すると肝機能が著しく低下し、肝臓移植のみが唯一の治療法となっているのが現状です。また、肝線維化に起因して致死的な肝臓癌の発がんリスクが高まります。現在、進行した肝線維症(肝硬変)に対する新たな治療戦略の開発が急務となっています。
 今回、東京大学医科学研究所と横浜市立大学の共同研究グループは、ラット肝線維化モデルに発生期の胎児肝臓を移植することにより、肝硬変で低下した肝機能の回復効果、肝線維化および生存率の著明な改善効果が得られることを世界で初めて発見しました。そこで、ヒトiPS細胞を用いて、ヒト肝前駆細胞・ヒト血管内皮細胞・ヒト間葉系細胞という異なる3種類の胎児発生期の肝臓細胞を創り出し、これらの未熟な前駆細胞を用いて、肝類洞構造や胆管構造を有する大型化が可能な新規肝臓オルガノイドの創出技術を確立しました(図1)。

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