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【東京農業大学(共同研究)】動物と植物に共通した高温耐性と低温耐性の仕組みを発見

Digital PR Platform / 2024年8月20日 14時0分


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高温耐性に関わる新しい遺伝子を同定
 emb-4変異体において発現が変動していた55個の遺伝子のうち変異体の存在した12個の遺伝子について、高温耐性と低温耐性への関与を調べました(図7)。その結果、脂肪酸代謝に関わる酸性スフィンゴミエリナーゼ(asm-3)や膜リン脂質の局所的な構造に関わるリン脂質スクランブラーゼ(scrm-4)の変異体において高温耐性の増強が見られました。さらに、神経系で機能するグアニリル酸シクラーゼ(gcy-19)やクラスリン様タンパク質(dyf-3)の変異体などでも高温耐性の増強が見られました。また、機能が未知の新規の遺伝子(C38D9.2)の変異体においても高温耐性が増強していました。これらのうち、dyf-3とC38D9.2の変異体では低温耐性も増強していました。


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 酸性スフィンゴミエリナーゼ (ASM) は、細胞膜やリソソームなどの脂質二重膜に存在し、スフィンゴミエリンを加水分解してセラミドとリン酸化コリンを生成します。ASMによって生成されるセラミドを含むスフィンゴ脂質は、細胞膜シグナル伝達などの中心となる脂質ラフト(lipid raft)の形成に関与します。また、asm-3変異体では2種類のオメガ-3長鎖脂肪酸が過剰に蓄積することが報告されています。以上のことから、ASM-3を介した細胞膜シグナル伝達や脂肪酸代謝が高温耐性に重要である可能性があります。
 リン脂質スクランブラーゼ (SCRM) も、細胞膜やミトコンドリアなどの脂質二重膜に存在し、リン脂質(ホスファチジルセリン)を内膜から外膜へと移動させます。SCRMの主な活性化因子はCa2+であり、これは血液凝固、アポトーシス、マイトファジーシグナルによって導入されます。最近の報告では、線虫においてSCRMであるATG-9が脂肪滴からの脂質動員に関与していることが示唆されています。これらのことから、Ca2+によって調節される膜リン脂質の局所的な構成が、SCRM-4を介した高温耐性の制御に関与している可能性があります。
 なお、これまでにEMB-4は胚発生に関わることが知られていましたが、今回、EMB-4が神経系の遺伝子の発現にも影響を与えるという新たな機能も見つかりました。

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