1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

世界初、アト秒光パルスの発生原理である高次高調波発生において偏光、波面形状の同時制御に成功 ~分光、レーザー加工、光ピンセット、情報通信などに広く関わる光の制御法則の解明~

Digital PR Platform / 2024年8月21日 15時9分

2.技術のポイント
 レーザー光の偏光や波面形状を特徴づける方法として、それぞれ円偏光(※5)や光渦(※6)と呼ばれる光の状態に着目しました(図2)。今回は、固体結晶の対称性(※3)をうまく利用して円偏光から光渦を作成することで、高次高調波発生で変換される偏光と波面形状の同時制御に成功しました。そして、それらの変換ルールが固体の対称性を反映して決まる汎用的な法則の上に成り立っていることを明らかにしました。


[画像2]https://digitalpr.jp/simg/2341/93552/600_160_2024082015380766c439cf6e30e.png


図2 通常のビーム(図左)と光渦(図右)の波面とスクリーンに当てた際のビーム断面の強度分布

① 対称性を利用した固体高次高調波発生技術
 波長変換によって発生する光を望みの特徴をもった偏光や波面形状に制御したい場合、「対称性」に注目することが良い手段です。レーザー光を形作っている電磁波と固体結晶の時間・空間的な形を特徴づける「動的対称性(※3)」に着目すると、波長の変換前後で偏光や波面形状の規則性を保ったまま高調波発生を行うことが可能です。
 2次や3次よりさらに高次の高調波発生を起こすために従来主要な媒質として利用されてきたのが気体です。ただし、気体中では球状の原子がばらばらの状態で空間に浮かんでいるだけであり、気体の種類を変えても高調波の偏光や波面形状を定性的に変化させるような制御は不可能でした。今回は近年注目を集めている固体結晶を用いることで、固体中の規則的な原子配列に起因する対称性を利用した光の制御を行いました(図3)。それぞれの固体のもつ分類された規則性は、単純な法則で決まる様々な偏光や波面形状の選択的生成を可能にします。


[画像3]https://digitalpr.jp/simg/2341/93552/600_161_2024082015380766c439cf719ec.png

図3 高次高調波発生における媒質の違い・気体と固体では形状の規則性(対称性)が異なる


② 光の円偏光と「光渦」を相互に変換(※7)する光学実験系
 固体高次高調波発生において比較的制御が簡単な円偏光だけでなく、光渦状態まで同時制御できる光学実験系を考案しました。円偏光のガウシアンビーム(※8)を厚い一軸性結晶(※9)に短い焦点距離のレンズで集光(タイトフォーカス)すると光渦の光成分を発生し、特殊な偏光状態の空間分布を物質内で実現できることに着目しました(図4)。この現象はタイトフォーカスによって結晶の厚み方向に対して斜め入射するビームの成分が複屈折(※7)を起こすことに起因します。これにより通常は特殊な光学素子を必要とする光渦の生成を簡便に行いつつ、同じ固体結晶中で高次高調波発生を起こすことができます。また、偏光、波面形状が固体結晶と合わせて1つの対称性で特徴づけられる状態を作ることで、発生する高調波の偏光と波面形状の同時制御を実現し、偏光、波面形状と次数の関係性を決める単純な変換法則(等式)を導くことができます。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください