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“スナップショット”解析によって核内構造体が形成されるメカニズムが明らかに

Digital PR Platform / 2024年9月19日 14時0分




 








 

 次に、in situビオチン標識されたタンパク質からゲノムDNAやRNAを精製して次世代シーケンサーによって解析することで、カハール体に存在するゲノムDNAとRNAを同定することを試みました。すると、カハール体が接しているゲノム領域として、多くの複製依存性ヒストン(Replication dependent histone: RDH)遺伝子や核内低分子RNA(small nuclear RNA: snRNA)遺伝子、そして一部のSmall Nucleolar RNA(snoRNA)遺伝子などが検出されました。カハール体に含まれるRNA分子としては、snRNAとSmall Cajal body-specific RNA (scaRNA) が検出された一方で、RDH遺伝子のmRNAやsnoRNAはほとんど検出されませんでした。これらの情報から、カハール体で転写されてボディ内に濃縮されるRNA、カハール体で転写されてボディ外に運び出されるRNA、そして、カハール体の外で転写されてボディ内に運び込まれるRNAなどに分類することができ、カハール体のRNAに関する機能的役割が明らかとなってきました(図4)。



[画像6]https://digitalpr.jp/simg/1706/95164/550_238_2024091817174566ea8ca93ebf7.jpg

図4 カハール体に存在するゲノムDNAとRNAを同定
カハール体のマーカー因子であるCoilinの抗体を用いてin situビオチン標識し、次世代シーケンサーによってカハール体を構成するゲノムDNAおよびRNAを検出した(左図)。右図は、本解析で得られた結果から考えられたモデル図。カハール体が形成される遺伝子領域、およびカハール体におけるRNA分子の挙動が明らかとなった(右図)。

 さらに、カハール体の形成と維持には、カハール体で転写されるsnRNAやRDH遺伝子の転写産物と、多くのRNA結合タンパク質との相互作用が重要であることも分かってきました。アクチノマイシンDなどの転写阻害剤で細胞を処理すると、短時間でカハール体が崩壊し、Coilinタンパク質が核小体に移行してしまう様子が観察されました。このときにCoilin抗体を用いたin situビオチン標識を行い、カハール体の構成因子の変化を調べました。
 その結果、カハール体の構成因子が劇的に減少することが分かり、さらに、転写阻害時のストレス状況に特有のインタラクトームが検出されました。これらの結果から、カハール体の形成と維持には、カハール体における転写、すなわち新生RNA鎖の合成が必要であることが分かりました。以上のように、抗体を用いたin situビオチン標識手法を駆使したマルチオミクス解析を通して、転写産物とRNA結合タンパク質の相互作用によるカハール体の形成機構が明らかとなってきました(図5)。

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