“スナップショット”解析によって核内構造体が形成されるメカニズムが明らかに
Digital PR Platform / 2024年9月19日 14時0分
論文情報
タイトル: Multi-omics analysis using antibody-based in situ biotinylation technique suggests the mechanism of Cajal body formation
著者: Keisuke Noguchi†, Hidefumi Suzuki†, Ryota Abe†, Keiko Horiuchi, Rena Onoguchi-Mizutani, Nobuyoshi Akimitsu, Shintaro Ogawa, Tomohiko Akiyama, Yoko Ike, Yoko Ino, Yayoi Kimura, Akihide Ryo, Hiroshi Doi, Fumiaki Tanaka, Yutaka Suzuki, Atsushi Toyoda, Yuki Yamaguchi*, and Hidehisa Takahashi*
† Equal contribution, * Corresponding authors
掲載雑誌: Cell Reports
DOI:https://doi.org/10.1016/j.celrep.2024.114734
[画像8]https://digitalpr.jp/simg/1706/95164/350_64_2024091814035666ea5f3c981cb.jpg
用語説明
*1 in situビオチン標識法:in situビオチン標識法は、細胞や組織内で特定の分子(DNA、RNA、タンパク質など)を検出・可視化するための方法で、検出したい目的の分子にビオチン分子を化学的に結合させ標識する方法のことである。
*2 カハール体:1903年にSantiago Ramón y Cajalによって初めて報告された、膜をもたない核内構造体の1つ。snRNA遺伝子やRDH遺伝子領域近傍に頻繁に形成される。Coilinタンパク質はカハール体の足場タンパク質であると考えられており、カハール体のマーカータンパク質として用いられる。スプライシングに働くsnRNP(snRNAとタンパク質の複合体)の成熟の場である。
*3 HRP:Horseradish Peroxidaseの略語であり、西洋ワサビから抽出される酵素の1つである。この酵素は、酸化還元反応を触媒する活性を持っており、過酸化水素(H2O2)の分解を促進する。この性質を利用して、抗体にHRPを付加させると酵素反応によって発色や化学発光を引き起こすため、ウェスタンブロット法やELISA法などで特定のタンパク質や抗原を可視化するために用いられる。
*4 液−液相分離(LLPS):liquid-liquid phase separation。濃度の異なる2つの液相が分離する物理現象。分子間のファンデルワールス力によって特定の分子が集まることがLLPSの駆動力であると考えられている。分子内に天然変性領域をもつタンパク質は、LLPSによる凝集体を形成しやすい。
*5 RNAスプライシング:遺伝子から転写された未成熟なRNAから、不要なイントロンを取り除き、必要なエクソンをつなぎ合わせ、成熟したmRNA(メッセンジャーRNA)を合成する過程のことを指す。
*6 BioID法、APEX法:近傍ビオチン標識法の1種。BioID法では、大腸菌由来のビオチンリガーゼBirAに改変を加えた酵素(BirA*)を目的タンパク質に融合させることで、近傍をビオチン化する。APEX法では、大豆由来のアスコルビン酸ペルオシキダーゼを目的タンパク質に融合させ、ビオチンフェノールと H2O2存在化でビオチン化反応を起こす。
*7 γH2AX foci:γH2AX とは、139番目のセリンがリン酸化されたヒストンバリアントH2AXを指す。DNA損傷が起こると迅速にH2AXがリン酸化されてγH2AXとなり、核内ではγH2AXが凝集してDNA損傷修復のための場(γH2AX foci)が形成される。
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