「役員報酬サーベイ(2024年度版)」の結果を発表
Digital PR Platform / 2024年10月25日 10時10分
■社外取締役の質・量の確保
政府や投資家からの社外取締役の登用要請に伴い、社外取締役の獲得競争が続いている。全取締役に占める社外取締役の人数割合が1/3以上の上場企業は89.2%(前年比+4.1ポイント)であった。過半数を確保している上場企業は19.4%(前年比+3.8ポイント)で、社外取締役の登用増加により、独立した監督体制が強化されていることが伺える。売上高1兆円以上企業における社外取締役の報酬総額水準は、中央値で14,800千円と、前年から400千円増加した。今後、優良な人材を確保・育成することが重要となるが、上場企業において、社外取締役の人材プールを確保していると回答した企業はわずか4.5%(50社)にとどまった。
また、多様性促進の要請の高まりにより、女性社外取締役の登用が目立っている。社内取締役の30%以上が女性である上場企業は2.4%であるのに対し、社外取締役の30%以上が女性である上場企業は45.4%(前年比+6.7ポイント)に及んだ。女性社外取締役の登用による多様性確保に多くの企業が依存している現状であるといえる。社内女性役員候補人材の育成等を通じて、社外取締役への依存から脱却するための対応が、社会全体で必要である。
■任意の報酬委員会、指名委員会、その他の委員会
2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂に伴い、任意の報酬委員会、指名委員会の設置が継続して進んでいる。指名委員会等設置会社を除く上場企業のうち、任意の報酬委員会を設置している企業の割合は83.1%(900社)と前年より1.5ポイント増加し、任意の指名委員会を設置している企業の割合は78.7%(852社)と前年より1.7ポイント増加した。このうち、663社は任意の指名・報酬委員会であり、指名・報酬に関する機能を両方持っている。報酬および指名領域以外で企業が任意に設置している委員会として多く回答されたのは、リスクマネジメント委員会(59.8%)、サステナビリティ委員会(53.2%)であり、サステナビリティを取り込んだガバナンス体制の強化が進んでいる。リスクマネジメント委員会は前年比4.5ポイント増、サステナビリティ委員会は前年比8.6ポイント増の変化がみられた。2023年6月にIFRSサステナビリティ開示基準が公表され、日本でもサステナビリティ基準委員会(SSBJ)による2024年度中の基準策定が目指されている。サステナビリティの取り組み開示は待ったなしの状況であり、サステナビリティ委員会の設置・経営との連携がさらに進んでいくと考えられる。
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