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光量子状態の高速生成 ~光通信技術による光量子コンピュータの加速~

Digital PR Platform / 2024年11月1日 19時0分

研究助成
本研究は、科学技術振興機構ムーンショット型研究開発事業 ムーンショット目標6「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」(プログラムディレクター:北川 勝浩 大阪大学 量子情報・量子生命研究センター センター長)研究開発プロジェクト「誤り耐性型大規模汎用光量子コンピュータの研究開発(JPMJMS2064)」(プロジェクトマネージャー(PM):古澤 明 東京大学 大学院工学系研究科 教授)、「ネットワーク型量子コンピュータによる量子サイバースペース(JPMJMS2066)」(PM:山本 俊 大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授/量子情報・量子生命研究センター 教授)による支援を受けて行われました。

用語解説
(注1)シュレディンガーの猫状態
シュレディンガーの猫は1935年にオーストリアの物理学者シュレディンガーによって提唱された有名な思考実験です。シュレディンガーは量子的な重ね合わせ現象として、古典物理学ではあり得ない、生きている猫と死んでいる猫が同時に存在する状態を例示しました。光学系におけるシュレディンガーの猫状態とは、位相が反転した2つのレーザー光(生きている猫と死んでいる猫に相当する)の重ね合わせ状態のことを指します。シュレディンガーの猫状態は2つのレーザー光の量子的な干渉に由来する高い非古典性を示し、この非古典性を利用した論理量子ビット生成のリソース状態としても用いられます。

(注2)論理量子ビット
量子情報処理においては、「量子ビット」が量子情報を伝達します。古典情報処理におけるビットは0か1の離散的な値を取りますが、量子ビットの場合はこの0と1の重ね合わせを取りうるという特徴を持ちます。物理レベルの量子ビットでは外乱やエラーが発生すると、量子情報を保持できなくなってしまいます。これを防ぐため、量子状態を保持したまま、エラーの情報を取り出し訂正を可能にする「論理量子ビット」を構成することができます。「論理量子ビット」の構成方法では、複数の物理量子ビットを組み合わせて冗長性を持たせる場合が多いですが、東京大学古澤研究室では、1つの量子ビット内に冗長性を持たせ論理量子を構成する実証実験に成功しています(関連情報1参照)。

(注3)ホモダイン測定器
光を用いた量子情報処理では、量子情報は光の振幅と位相に対してエンコードされることになります。ホモダイン測定は、特定の位相方向の光の振幅を測定することのできる量子測定手法となっています。一般的な光の測定としては、フォトディテクタによる光のパワー測定がよく用いられますが、パワー測定では、光の位相情報を読み取ることができないため、量子情報処理における測定としては適しません。測定誘起型量子計算と呼ばれる種類の量子計算手法では、ホモダイン測定とその測定結果に応じたフィードフォワード操作を繰り返し行うことによって、具体的な量子計算を実行することができます。

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