米国大統領選挙:投資家への影響
Digital PR Platform / 2024年11月8日 10時0分
金融市場は、経済成長を促す政策の実施とインフレ率の上昇を見込む形でドナルド・トランプ氏の勝利に反応しました。本レポートでは、トランプ氏の大統領復帰が米国経済や世界貿易、株式および債券市場、そしてエネルギー転換にどのような影響を持つのか、シュローダーの運用担当者の見解をご紹介いたします。
ヨハナ・カークランド:グループCIO
米国大統領選挙におけるトランプ氏の勝利を受けて、シュローダー・マルチアセット・チームでは株式に対する強気姿勢を変更する考えはなく、特に米国株式に対する選好姿勢を維持する方針です。トランプ氏は前政権時、ダウ工業株30種平均のパフォーマンスを大統領としての成功のバロメータとして着目していました。
引き続き、米国経済はソフトランディングを達成するとの見方を維持しています。財政政策は引き続き支援材料となるでしょう。
主要なリスクは貿易への影響であると考えています。トランプ氏は直に声明を発表するでしょう。短期的には、保護主義的な姿勢は米ドル高を招くほか、米国以外の経済成長を阻害する要因となる可能性があります。関税引き上げによる影響を相殺するために、中国当局は緩和的な政策を継続すると考えます。
一方、欧州株式については、米国政府による関税強化の影響に加え、政治的な観点から選好姿勢を弱めています。
債券については、インカムの源泉という伝統的な目的のために保有を維持する方針です。但し、財政悪化に対する懸念が高まったため、債券のポートフォリオにおける分散機能は再び低下する可能性がある点には留意する必要があると考えます。
より広範な視点では、ハードランディングに向かうリスクが低減したとみる一方、トランプ氏が主導する関税強化や財政政策の影響によりインフレが再燃するリスクが高まったと考えます。
最悪のシナリオは、候補者により「選挙結果は無効である」と主張されることと考えていましたが、このシナリオは免れられたことで、一連の大統領選に関する不透明感が低下しました。
経済への影響:トランプ氏の勝利は、米国経済にとってリフレ要因となるでしょう
ジョージ・ブラウン:米国シニアエコノミスト
接戦が予想された米国大統領選挙は、共和党のドナルド・トランプ氏が民主党のカマラ・ハリス氏に圧勝する結果となりました。米国政治の歴史の中で、再選に失敗した後に再び大統領に返り咲くのは史上2人目です。
残る唯一の疑問は、共和党が上院と下院の両院で過半数を獲得するかです。共和党は上院で過半数を獲得しましたが、下院はカリフォルニア州とニューヨーク州で接戦が繰り広げられており、どちらの党が多数派を獲得するかが焦点となっています。(当レポート発行時点)
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