米国大統領選挙:投資家への影響
Digital PR Platform / 2024年11月8日 10時0分
エマージング株式市場:関税がリスクとなる
トム・ウィルソン:エマージング株式ヘッド
トランプ氏が大統領に返り咲くことはエマージング株式では、注意深く状況を見守る必要があると考えています。その中で、米国への輸出品に広範な関税が適用される可能性があり、特に中国への関税が大幅に引き上げられる可能性が、新興国にとって最も注目すべきリスクであると考えています。関税が適用される国は、通貨の下落につながる可能性が高く、特に人民元安になる可能性を考えています。一方、高い関税が課せられることについて、成長への影響を防ぐために中国の政策対応がより大規模になる可能性もあります。
特に中国については、高関税のリスクがどの程度交渉プロセスの始まりとなるのか、また、高関税が課せられるとしてもどの程度まで段階的に導入されるのか等、実際の動向について不透明感も残されていると考えており、今後の状況を注視する必要があります。
貿易関税をはじめとするトランプ次期政権の政策は、米国にとってインフレをもたらす可能性があります。予想される結果としては、米ドル高、インフレ率の上昇、米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和の縮小、米国のイールドカーブの上昇等が挙げられます。これらは新興国通貨の重しとなり、新興国の中央銀行の金融政策の制約となる可能性が考えられます。
もう一つの疑問は、米国の外交政策であり、トランプ大統領の下で米国がどの程度孤立主義を強めるかです。これにより、特定の市場ではリスク・プレミアムが上昇する可能性があります。アジアでは、テクノロジー・サプライ・チェーンにおいて米国の利益にとって台湾は極めて重要であることから、米国の台湾に対するコミットメントが著しく変化することはないと考えています。しかし、米中関係がリスクを悪化させないよう注意深く管理されることが重要です。
ウクライナ情勢については、トランプ次期政権が早期解決を促す可能性があります。これは、ウクライナの復興の可能性がある一方、和解が長続きしない可能性もあることから、プラスにもマイナスにもなり得るとみています。一つの影響は、欧州の防衛費の継続的な増加が求められると考えます。
直後の市場の反応としては、中国株式市場が軟調となった一方、インド株式市場は堅調に推移しました。これは予想通りです。インドは他の新興国市場よりもトランプ政策の影響を受けにくいため、当面はポジティブな展開となる可能性があります。中国では現在、市場にはより強力な政策の後ろ盾があります。貿易の不確実性はあるものの、さらなる政策支援等を考慮し、中国については現在の中立的な見方から大きく逸脱する可能性は低いと考えています。
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