米国大統領選挙:投資家への影響
Digital PR Platform / 2024年11月8日 10時0分
しかし、下院でも共和党が過半数を獲得すると考えられます。ポリマーケット(ブロックチェーンベースの予測市場)では、上下両院とも共和党が占める、いわゆる「レッド・スイープ」の確率は90%以上となっており、東海岸各州における大統領選投票終了時の35%程度から大幅に上昇しています。
そのため、トランプ氏は政策を推進するにあたり、優位な立場にあると考えます。トランプ氏は、さらなる減税や規制緩和に加え、関税引き上げや移民規制の強化などを公約として掲げており、これらは米国経済にとってリフレ要因となると考えられます。
よって、今月末に公表する予定の最新のマクロ経済見通しにおいては、前回の公表時に市場コンセンサスを上回っていた2025年の経済成長率見通しをさらに引き上げることを検討しています。前回の経済見通しは当時の選挙動向を参照し、ハリス氏が米国大統領選挙に勝利し、上院と下院で多数派が異なる「ねじれ議会」を想定したものでした。
インフレは長期化する可能性が高まったため、シュローダー・エコノミスト・グループでは、米連邦準備制度理事会(FRB)が示唆したほどの金融緩和を実施することはないという確信を強めています。シュローダー・エコノミスト・グループでは米国の中立金利は3.50%程度と想定していますが、トランプ氏の政策により、FRBは政策金利を3.50%以上に維持する必要があると考えています。(中立金利とは、安定的で予測可能な経済成長とインフレを実現するための制約的でも緩和的でもない政策金利を示します。)
債券:米大統領選挙は利回り上昇とドル高継続の可能性
ジェームス・ビルソン:債券ストラテジスト
共和党が上下両院および大統領のポジションを奪取し、「レッド・スイープ(上下両院ともに共和党が占めること)」となる可能性が高まりました。今後市場では、財政緩和とトランプ流の通商政策の影響がさらに織り込まれると予想します。
一方で、今回の大統領選挙の結果に関わらず、米国経済成長を示すマクロ経済指標は直近すでに非常に堅調であることは重要なポイントと考えます。この点を考慮すると、トランプ政権で想定される財政緩和政策が実行された場合、FRBが掲げる物価安定に向けた政策運営が更に困難となり、経済は「ノーランディング・シナリオ(インフレが粘着性を維持し、金利水準がより長期的に高位となる状況)」に向かうリスクが高まると考えます。
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