米国大統領選挙:投資家への影響
Digital PR Platform / 2024年11月8日 10時0分
2016年は、トランプ氏が勝利するとはだれも予測していなかったため、市場は意表を突かれる形となりました。しかし、今回は、投資家は数ヶ月前からトランプ大統領の政策の影響を織り込んでいました。さらに、2016年の最初の動きは必ずしも持続的なものではありませんでした。その最たる例がクリーンエネルギー・セクターです。インフレ抑制法が成立したにもかかわらず、2020年から2024年にかけてのバイデン政権下でのパフォーマンスは、2016年から2020年にかけてのトランプ政権下でのパフォーマンスよりもはるかに良いものでした。
ここでのポイントは、政治や政府だけが市場を動かす要因ではないということです。中期的に一般的に市場を動かす要因となるのは、株価水準、景気等のサイクル、競争、の組み合わせです。
エネルギー転換:グリーン・インセンティブは失われる可能性があるが、再生可能
エネルギーのコストは維持されるだろう
デビッド・ボイス:シュローダー・グリーンコートCEO、北米担当
過去15年間で、風力発電と太陽光発電の発電コストは大幅に低下し、現在では化石燃料から電力を生産する際の変動コストと真っ向から競合しています。コストの観点から、電力会社にとって再生可能エネルギーは、当然の選択となっています。
ドナルド・トランプ次期米大統領は、クリーンエネルギー産業への経済支援の打ち切りを示唆していますが、インフレ抑制法(IRA)を一方的に廃止するのは難しいと思われます。グリーン税制優遇措置の撤廃には米国議会の支持が必要ですが、IRAがもたらしてきた広範な景気刺激策を考えると、新大統領は支持を得られない可能性があります。
グリーン・エネルギー・プロジェクトに関する私たちのデータ分析によれば、IRAの成立以降、共和党支持者が多い州では50%以上の新規雇用と設備投資を創出したのに対し、民主党支持者が多い州では20%であることがわかりました。
それにも関わらず、トランプ大統領は、税額控除を受けるための資格に関する規則を厳格化したり、グリーン・エネルギー・プロジェクトに対する助成金や融資の実施を凍結したりするなど、大統領令を通じて気候変動関連法案を妨害する可能性があるため、クリーンエネルギーへの移行が減速する可能性が考えられます。
トランプ大統領は、何千人もの連邦職員の役割を再分類するスケジュールFを復活させる可能性もあります。そうすることで、トランプ大統領は米環境保護局(EPA)などの主要政策機関の人事に対して大きな影響力を持つ可能性があります。第1次トランプ政権ではEPAの予算を削減し、規制活動を制限しました。政府のこうした分野は、さらなる削減の影響を特に受けやすいでしょう。
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