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片渕須直監督が新作「つるばみ色のなぎ子たち」進捗報告 膨大なリサーチに「映画がいつできるかドキドキ」、つるばみ色は「喪服の色」

映画.com / 2024年3月19日 14時0分

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 新潟市で開催中の「第2回新潟国際アニメーション映画祭」で「見え始めた『つるばみ色のなぎ子たち』の世界」と題した片渕須直監督のトークイベントが3月18日に開催され、片渕監督が新作製作の進行状況などを語った。

 片渕監督の本映画祭参加は昨年に続き2度目。新作「つるばみ色のなぎ子たち」の進捗を、まずは昨年秋に公開されたパイロット映像で紹介した。映画は平安時代の京都を舞台にしたオリジナル作品。「枕草子」の清少納言が生きた1000年前、疫病がまん延して数万人の死者が出て、時代が大きく変化していくなかで、日常のなかに希望を見いだしながら生きる少女たちの姿が描かれる予定だ。

 パイロット映像では、蚊を媒介に疫病が流行していく平安京の様子や、寝床で腹ばいになって無心に何かを書く少女の姿が描かれ、「枕草子」の一節「筆も使ひ果てて、これを書き果てばや この草子は、目に見え心に思ふ事を、人やは見むずると思ひて、書き集めたるを」の文字で締めくくられる。

 映像最後に登場する、筆を持った少女について「多分清少納言だと思いますが、違うかもしれません。どんでん返しがあるかも?」と期待をあおる片渕監督。平安時代が描かれた絵巻物のほか、室町時代、江戸時代などを含め、様々な時代に発行された今の日本に存在する「枕草子」を読み解き、清少納言が生きた時代を考察する膨大なリサーチを行っている。しかし、まだ不明な点もあるそうで、「映画がいつできるかドキドキしています」と現在の心境を吐露した。

 まずは片渕監督が「アニメーター殺しの服装」と呼ぶ、十二単の正装、女房装束の構造を、登場キャラクターのイラストの一部とともに解説。清少納言らが着用していた時代のものは、現在の着物のように脇の下が切れておらず、動きに難儀するような衣装だったようだ。「(放送中の)NHKの大河ドラマでは脇下が切れています。映画の衣装さんに聞けばいいと思いましたが、(今の映画で用いられる衣装の)その多くは現代風になっているよう。考古学のように復元していくしかない」とリアルを追求する。

 次に、平安京の地図を再現し、一条天皇の住まい(清涼殿)があった土地を訪れ、現在の地図写真や発掘調査資料などからの検証を報告する。土地に勾配があったことで、建物の中に段差をつけた構造で設計されていたこと、のちの豊臣秀吉がややずさんな土地改良工事を施し、現在に至ることなど、1000年以上の歴史を振り返る作業に「ですから何年たっても(調査が)終わらないわけですが、自分たちが平安時代に行ったような気になる」と、膨大な項目をひとつひとつ丁寧にフォルダに分けた資料の一部も公開しながら語る。

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