【インタビュー】長澤まさみ&坂口健太郎が明かす、再共演までの軌跡 氷点下の過酷環境で発見したお互いの魅力とは?
映画.com / 2024年3月21日 21時0分
長澤「藤井監督と同じように、今村さんもずっと河村さんと一緒に映画づくりをしてきた一人で、河村さんへの熱い思いがあります。子どもが親に喜んでほしくて頑張るみたいに“いい作品を作って天国の河村さんに見せるんだ”という純粋な気持ちを常に感じていました。本人も“気持ちが入りすぎて、いいものしか撮れていない”と語っていたのが印象に残っています。普段はもっと不安がるというか、プライドも持ちつつ俯瞰している人でしたから、前のめりに作品と向き合っている姿が新鮮でした。それを見ていて、“頑張れ!”という親心のような感情が芽生えてきました」
坂口「確かに、今回の今村さんは一番無邪気でした。今村さんも藤井さんも僕も子どもな部分があるので、よくふざけていましたし、張りつめた緊張感のあるシーンでも楽しさを感じながら撮っていたところはあると思います。このワンカット、ワンシーンを撮っている喜びがすごくあるんだろうなと感じていました。あとはやはり、感情を撮ってくれるカメラマンだと感じます。藤井監督とのバディ感もあり、セリフを言い終わっても監督がカットをかけなかったら、そこに滲む感情をきちんと掬い取ってくれる。そうした今村さんの持ち味を再認識しました」
――お二人が演じた美奈子とアキラについて。リリー・フランキーさんが「何も知らない/わからない状態からこの“世界”に入ってくる美奈子は難しい役」とおっしゃっていましたが、その美奈子に対してアキラは案内人的な立ち位置でもあります。
長澤「そう考えると、『海街diary』のときと立場が逆転した感じもありますね。何もわからない私に手ほどきをしてくれるのが健太郎さんで、彼が元々持ち合わせている人となりと役柄が重なり、温かいゆりかごの中に招き入れてくれるような感覚になりました。健太郎さん自身が心をオープンにして受け入れてくれる人だったので入りやすかったですし、アキラという存在がいることで美奈子はコミュニティの中に入っていくことができて、この世界を受け入れられたと思います。私の印象ですが、本人のイメージは役に投影されるものだと改めて感じました。健太郎さんには、知らないうちに楽しい方向・安心する方向に誘ってくれる力がありました」
坂口「ただ、今回の現場では僕がそう動いたというより、みんなにいじられていた感じです。好きな食べ物の話になって、僕が『卵です』と答えたらその日からリリーさんが“たまごちゃん”と呼び始めて、どんどん浸透していきました(笑)」
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