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石原さとみ「よく生きて帰ってこられたなと思う」 吉田恵輔監督と念願タッグ、苦闘の日々を振り返る

映画.com / 2024年5月17日 12時0分

 石原:その飲み会のことは、ものすごく鮮明に覚えています。途中から来た若いママさんが「すごいファンです」と言ってくれたのですが、その第一声が「さとみちゃん、体重何キロ?」で(笑)。自分の中に初対面でその質問をする発想がないので、どういった頭の回転や心の中身を作っていけば沙織里になれるのかは悩みました。

 𠮷田:俺は見慣れてるけど、石原さんとは全く別のタイプだよね。

 石原:私にとってはとにかく新鮮で、沙織里と自分に乖離があることがわかり「どうしよう」と焦りました。自分の主観になる人間にしていかないといけないから、ものすごく難しかったです。

 𠮷田:俺の作る映画は割と下町とか郊外っぽいところがあるけど、これまでの石原さとみには港区のにおいを感じていて。俺、港区で撮影したことないぞ?と思いながら、「お洒落といえば北千住!」くらいの感じといいますか(笑)、どうこっち側に来てもらうかは見た目も含めて努力はしていきました。お祭りに命を懸けている下町風情、要は人情味をどう醸し出していくか――。同時に、彼女たちって見た目で誤解されやすいところがあると思うんです。別にヤンキーとかじゃないのに、「育ちが悪いのかな」と勝手に決めつけられちゃう。さっきの「体重何キロ?」じゃないけど、本人は無意識なんだよね。そういった部分も重視したところです。

●よく生きて帰ってこられたなと我ながら思う――警察署での“叫び”に関する秘話

 ――石原さんは「沙織里の“心”はわかるけど、“人”がわからなかった」とおっしゃっていましたね。いまのお話を伺って、合点がいきました。

 石原:脚本を読んだだけで心が壊れそうになり、逆にいえばよく生きて帰ってこられたなと我ながら思います。子どもを産んでから演じているので、想像というレベルではなく私自身が悪夢として見るくらいの、トラウマになりそうな感覚でした。

 その象徴として、警察署で叫ぶシーンが記憶に残っています。実はあの「叫ぶ」という芝居は、もともと台本にはなかったんです。フリーズするつもりでいたら、段取り(撮影前に行う動きの確認)のときに「叫んでほしい」と𠮷田監督がおっしゃって。警察署の人たちが目をそらしたくなるようなリアクション、砂田(中村倫也)が撮影を止めたくなるような狂っている感じがほしい、とその場で言われて、驚きました。

 𠮷田:結局、台本上って全部撮影前じゃないですか。特に今回は「石原さんが沙織里をやったらどうなるか」が全く見えていない状態から撮り始めたから、撮影の中で造形を作っていくところがありました。そのシーンは全体スケジュールの後半だったこともあって、「この沙織里だったら壊れるだろうな」と感じて、そのリクエストをしました。

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