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石原さとみ「よく生きて帰ってこられたなと思う」 吉田恵輔監督と念願タッグ、苦闘の日々を振り返る

映画.com / 2024年5月17日 12時0分

 石原:そうなんだ……。自分では、とにかく不安で気合を入れていた感覚がないんです。

 𠮷田:滅茶苦茶入ってたよ(笑)。例えば「右の眉毛があと1ミリ短い方がいいか」なんて、普通役者はそこまで考えないと思う。例えば「メイクさん/監督にそう言われた」とか「ちょっとこだわりがあって切りたい」だったらまだあるだろうけど、石原さんの場合は沙織里を演じるうえでどっちがいいのか悩みまくっていたから、この段階でそうなら芝居になったら100倍くらい悩むはずだから絶対終わんないな、と確信した。眉毛の話で5分くらい話し込んだから、警察署のシーンのプランの話をした日には4日くらいはかかるぞ、と(笑)。

 そういうのもあって、初日に一発OKはしないようにしようと。絶対に不安になっちゃうはずだから。だからその日に撮る予定のシーン数をなるべく減らして、何度もやることで「これでいいのか、合ってるのか」を持ち帰った方が健全だと思ったんだよね。俺も昔はそうだったんだけど、たとえば映画の学校に入ったばかりのときとか、やる気だけがすごくて行動が空回りすることってあると思うんです。「血のりなんて大丈夫です。俺、スパッと切りますよ!」みたいな、「いらないいらないやめて!」と周りが焦っちゃう間違った気合の入り方(笑)。

 まだ20代もそこそこの、演技論だけで朝まで話せるくらいの勢いの新人や若手だったらまだわかるけど、大分キャリアの長い石原さんがそこまでやるというのは驚きでした。普通は疲れちゃうし、そこまでやると身が持たないからみんなやらないと思う。

 石原:みんなそうしているのかと思っていました。

 𠮷田:自覚がないのがすごいよね。逆に言えば、みんなと同じような雰囲気の作り方をしていたら、こんなにいい芝居になっていないと思う。

●役への向き合い方はドキュメンタリー的に……「家にいるときも心が欠けた状態だった」

 ――石原さんが𠮷田監督に出演を直談判してから7年分の想いもあるでしょうし、お芝居を休むのも初めての経験だったと伺いましたし、そういった意味ではどうしたって気合いは入っちゃいますよね。

 石原:確かに、こんなにお芝居を休むのは初めてでした。

 𠮷田:石原さんほどのキャリアがあれば当然プライドもあるだろうし、「怖い」とか「わからない」を隠そうとするものだと思うんです。「私わかってますから」というふりをしたくなるものなのに、それを平気で言えるのは強いなと思う。ちなみに中村倫也さんは俺の演出に対して「わかりました」と淡々と答えていたけど、きっと内心はドキドキしていたと思うよ。中村さんは前はドキュメンタリーっぽいお芝居がとても上手だったけど、最近テレビドラマが多かったからかちょっと芝居のテイストが俺のイメージとズレていて。「なんか刑事っぽい」と言ったらすぐ修正してくれて、やった後「どうですか、刑事じゃなかったですか」と聞いてくれたけど、本人からしたら恥ずかしかったんじゃないかな。

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