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【インタビュー】河合優実が語る、佐藤二朗・稲垣吾郎だったからこそ生まれた感情 プランをゼロにして、その場を“生きる”芝居

映画.com / 2024年6月6日 13時0分

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 これが、2020年の日本で現実に起きたことなのか……。そんな衝撃を受ける一方で、映画が進むにつれて気づかされる。ここに登場する人物たちが抱く希望や絶望、喜びや怒り、哀しみ、葛藤や苦悩は、置かれた立場や境遇は違えども、“あのとき”、確かに私たちが感じていたものだと。

 先行きの見えないコロナ禍の中で実際に起きたある事件をベースに、過酷な運命に翻弄される少女の姿を描く映画「あんのこと」が公開を迎える。彼女が直面する現実、そしてその結末は私たちに何を問いかけるのか? 河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎が思いを語った。(取材・文/黒豆直樹、撮影/間庭裕基)

――ろくに学校にも通えず、母親に売春を強要され、薬物中毒に陥っている少女・杏。この役を引き受けるにあたって、迷いや逡巡はありませんでしたか? 「やってみよう」と思えた決め手を教えてください。

河合:実は、私がこの作品について知らされた時は、既に引き受けることが決まった状態だったんです。最初は入江(悠/監督)さんの作品ということしか決まっていなくて、そこから少しずつ企画が固まっていき、脚本ができて、改稿を重ねていったという感じで、徐々に自分の中でどんな作品かという解像度が上がっていきました。

なので、最初に脚本を読ませていただいた時点で「やるかやらないか」という選択肢は既になかったんですが、「この役を自分が請け負う」という気持ちは最初の段階で固まっていました。最初に読んだ時、自分のところにこの話が来たからには「大丈夫ですよ」と役に対して言いたいような気持ちがありました。ものすごく大変な役であり、ものすごく大切に触れなくてはいけない題材なんだということがわかっていたからこそ、その裏返しとして「大丈夫だ」と自分に言い聞かせていた部分もあったのだと思います。

――佐藤さんが演じた多々羅は、そんな杏を更生の道へと導いていくベテラン刑事ですが、情に厚く愛嬌を感じさせる部分と闇を併せ持った人間の複雑さを体現したような存在です。

佐藤:刑事であり、薬物更生の自助グループを主宰しているんですが、非常に“グレーゾーン”にある男なんですね。ただ、それでも彼の杏を救いたいという気持ちは本物だったと思うんです。

それは一見、矛盾するように思えるけど、同じ人間にそういう部分が同居しているというのはすごく人間らしく、生々しいことだと思いましたし、そんな男を「演じてみたい」と思いました。役者として「そそられる」役でしたね。

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