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大奥を舞台に“新社会人あるある”を描く 「劇場版モノノ怪 唐傘」中村健治監督インタビュー

映画.com / 2024年7月18日 19時0分

――「劇場版モノノ怪 唐傘」では、なぜ大奥を舞台にしたのでしょうか。

中村:大奥にしたのはビジュアルが先行です。公式X(旧Twitter)にもだした、薬売りが大広間にたって、そのまわりにグルグル顔の女中さんたちが振り向いているあの絵がそもそも最初にありました。僕がその絵のもととなるイメージをホワイトボードに描いて、「こういう感じの絵がつくれるから大奥はどうでしょう」という話をしたら、企画チームの皆さんがそれいいねと言ってくれて。そんなふうにビジュアル先行で決まってから、ではなぜ「モノノ怪」で大奥をやるのかを自分たちで探していくなかで、これは“なんとなく”ではなかったんだと思うようになっていきました。

――“なんとなく”ではなかったとは、どういうことでしょう。

中村:「モノノ怪」でいちばん重要なのは、そこにある情念なんです。モノノ怪が生まれる情念は何から生まれるのかを考えたとき、集団と個人のずれというか、人が社会で生活するにあたってどうしても埋まらない溝みたいなところに苦しみを感じる人が、いつの時代にもいるはずだろうと。その溝によってひどいことが起こるかもしれないけれど、集団と個人のずれというのは良いも悪いもなくて、人がたくさんいる以上、必然的にそうなってしまう。ただ、そこにあるというか、究極的には解決できないものだと思うのですが、そこから生まれる情念がモノノ怪になる。これは今描くと面白いんじゃないか。そうした社会全体から見た集団と個人のずれを、大奥という舞台にカリカチュアすることが今回の作品の軸になったというのが全体の構造的な話になります。

■「絵だけのドラマ」を大事にする

――「モノノ怪」を新たに劇場アニメとしてつくる際、ビジュアル面でもいろいろな選択肢があったと思います。それこそテレビアニメ「モノノ怪」の最後のエピソード「化猫」では、これまでとは違ったビジュアルのアプローチがされていました。今回、全体的な印象としては、ファンが思う「モノノ怪」のビジュアルの特異さはそのままに、全体的にバージョンアップさせたように感じました。

中村:よかったです(笑)

――そのなかで特に違って感じたのは、これまでのシリーズよりも色の彩度が上がっているということでした。

中村:テレビシリーズの「モノノ怪」の制作後、いろいろな方から感想をいただく機会がありまして、そのなかで個人的に印象深い感想があったんです。主に海外の、それもアジアではなく北米方面の方々からの声で、「どうして、あんなに色がくすんでいるの?」と。僕らはあざやかだと思ってつくっていたので、なぜそういう感想になるんだろうとちょっとビックリしたんです。いろいろ調べたら人間って人種によって目の神経の性能が実は違うということが分かって、企業でも例えばモニターのチューニングなどで世界の地域による見え方の違いなどを考えられているそうなんですよね。

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