1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

大奥を舞台に“新社会人あるある”を描く 「劇場版モノノ怪 唐傘」中村健治監督インタビュー

映画.com / 2024年7月18日 19時0分

■今回の「モノノ怪」はお仕事もの

――「劇場版モノノ怪 唐傘」では、新人女中のアサとカメがキーパーソンになります。2人が大奥で働く様子は“新社会人あるある”のようにも感じました。

中村:じっさいお仕事ものですので、今の感想はまさにそのとおりです。大奥が舞台と聞くと、ドラマなどで描かれることの多い、女の園での世継ぎや権力争いといったイメージが強いと思いますが、専門家の方からお話をうかがうと、仮に2000人の女性が大奥にいたとして世継ぎに関わるのは数人しかいなかったそうなんです。じゃあ他の人は何をやっていたのかというと、今の政治の世界と同じように政(まつりごと)をサポートする官僚の集団だったのだと。女性ばかりの職場で、時の権力者の第2、第3夫人などが所属しているから、そうした世界の印象が強いんですけど、じっさいはめちゃめちゃ大きな官僚機構で、そこで展開されるのはお仕事そのものなんですよ。

 そうした官僚機構としての大奥で、エリートになっていく人も落ちこぼれてしまう人もでてくるなか、仕事という物差しだけで判断して最適化しすぎると何かが失われてしまうかもしれない。不器用な人にも存在価値がやっぱりあって、そういう人がいるからこそ生まれることもあるんじゃないかなと。この作品って、「唐傘」というサブタイトルのとおり傘みたいに仕事の価値観のようなものがグルグルまわっているところがあって、見た方にはグルグル考えていただけるとよろしいのかなと思っています。

――「唐傘」というサブタイトルについても聞かせてください。「モノノ怪」シリーズは毎回、モノノ怪の名前がサブタイトルになっています。先にモノノ怪の名前をきめるのか、それともあとに決めるのか、どちらが多いのでしょうか。

中村:テレビシリーズのときは、まず「情念」と交わりモノノ怪となる「妖怪」たちの名前を先に決めましたが、今回の「唐傘」はプロダクションの中盤で決めました。僕個人が唐傘というモノノ怪が好きで一度出したかったのもあります(笑)。舞台を大奥に決めたときと同じように、決めてから困った困ったと言ってたんですけど、最終的には捨てられた大切なものの「情念」が宿るのに「唐傘」でちょうどよかったとなりました。作品を見たあとに、モノノ怪になる「唐傘」がどういうものかをある程度調べていただくと、なるほどと思っていただけると思います。

――予告を見て感じた方もいると思いますが、今回の「唐傘」は薬売りの立ち位置やキャラクターの描き方など、これまでのシリーズとは根本的に違ったことをやっているようにも感じました。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください