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大奥を舞台に“新社会人あるある”を描く 「劇場版モノノ怪 唐傘」中村健治監督インタビュー

映画.com / 2024年7月18日 19時0分

――演出のセオリーからあえて外れたやり方をやるということですね。一緒に仕事をするスタッフにはどのように伝えているのでしょうか。

中村:できるだけ言語化して文章化するように頑張っていたんですけど、「モノノ怪」は人によって向き不向きがある作品なのかなと、つくりながら思いました。各スタッフの作品の理解度にもよるのかもしれませんが、めちゃめちゃつかまれちゃったなあという方もいますし、「分からない」という方もいましたので。ただ、全体的には予想以上に吸収していただけて、これまでのシリーズと比べると僕自身が手を動かすよりもお任せしていることが多いのですが、それでずれやぶれが少ないので驚いているという体験を今しています。

――音楽と効果音がまだついていない制作中の映像を事前に拝見して、その時点でこんなに緊張感のある映像になっているんだと驚かされたのですが、今うかがったような演出上の工夫がそうさせているのだなと思いました。

中村:「モノノ怪」では、一般的な映像づくりの感覚よりも、見ている人の脳にいかに刺激を与えるかみたいな感覚のほうを重視しているところがあります。何も刺激がないのだったら、そのカットはつくる意味がないんじゃない? みたいな(笑)。見る人をリラックスさせるアニメーションもあると思いますが、「モノノ怪」の場合は見ていてちょっと呼吸を忘れてしまったり動悸があがってしまったりすることが大事なのかなと思っていて、そういう方向にチューニングしたつもりです。これだけ映像があふれている今、お客さんの目が厳しいというのもありますし、当たり前のことをやると「モノノ怪」で普通のことをやっているんじゃないと怒られそうな気もしていまして。

 「モノノ怪」では絵で語ることを大事にしていて、セリフも多いんですけど、絵を見ているだけで「ひょっとしたら、あれってこういうことかな」という雰囲気がただようようなものにできたらなとも思っています。絵の仕掛けをつかった「絵だけのドラマ」があって、絵だけを見ていてもドラマがぼんやり見えてくる絵本みたいなものといいますか。そういうところは、すごく大事にしています。

――今回、劇場版だからこそ挑戦できたことがあったら教えてください。

中村:音楽を岩﨑琢さんにお願いしていまして、「モノノ怪」としては音楽を多めに使っています。岩崎さんにはすごく力をいれて取り組んでいただき、今回はカットにあわせて作曲するフィルムスコアリングという贅沢な手法をとることができました。アニメでやるのはけっこう大変なのですが、効果音かと思ったら音楽、音楽かと思ったら効果音と、聞き分けるのが難しいほど面白い音づくりになっていますので、そこも楽しんでもらえるといいかなと思います。

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