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江口のりこ&森ガキ侑大監督が“暴発するヒロイン”を生み出すまで キーになったのは順撮り【「愛に乱暴」インタビュー】

映画.com / 2024年8月31日 14時0分

江口:なるほどねぇ…。

森ガキ監督:でも、桃子はお金を掛けたくないから庭のスイカを持って行ったんだと説明したら、大笑いしてましたね。あのシーンは上映でも笑いが起こっていました。

――小泉孝太郎さんが演じたサイテーのクズ夫・真守に関してはどんな受け止め方をされていましたか?

森ガキ監督:「ああいうヤツはどこにでもいるわ!」って感じでしたね(笑)。

●そもそも映画化のきっかけは? 原作者・吉田修一からの“注文”もあった

――ここから映画について、お話を伺っていきます。吉田修一さんの小説はこの20年ほどで数多く映像化されてきましたし、映画として非常に高く評価されている作品も多いですが、今回「愛に乱暴」という上・下巻の長編小説を映画化しようと思ったきっかけは?

森ガキ監督:吉田修一さんの小説はほとんど全部読んでいて、大好きでした。映画に関しては李相日さんが「悪人」、「怒り」などをつくられていて、あのような作品とは、また違うテイストの吉田修一作品を描いてみたかった。

 「愛に乱暴」は、繊細な日常をひとりの女性にフォーカスして描いているところが魅力的だなと思いました。いま、生産主義というか、資本主義がさらに進んで社会全体が「もっと効率的に!」となっていく中で、居場所を失いそうになっているひとりの女性の姿が観る人の心に刺さるという人が多いんじゃないか? と思いました。

――江口さんも原作を読まれたそうですが、どのような印象を持たれましたか?

江口:メチャクチャ面白いなと思いましたね。上・下巻、一気に読んじゃいました。桃子はものすごく傷ついた女性ですが、そういう経験をしていない人でもわかるというか、最後まで桃子に寄り添って読むことができる面白さがありました。ただ「これをどうやって映画にするんだろう?」とは思いました。

――映画化に際してカットされたシーン、登場人物も多かったかと思いますが、どのように脚本を組み立てていったのでしょうか?

森ガキ監督:やはり上・下巻の長い小説を約1時間半の映画にするというのはメチャクチャ大変でした。「この描写は入れる?」「これはカットする?」というのを横山蘭平プロデューサー、脚本家(山﨑佐保子/鈴木史子)と話し合いました。

 そうやって短くした脚本を一度、吉田修一さんにお渡ししたんですが「良くなっています。でもキャラクターをもっと活き活きとさせてほしいです」という注文をいただいたんです。そこからさらに手を加えて、吉田さんにも何度か読んでいただいたんですが、吉田さんは「面白くなってきましたね」、「もっと面白くなります」と背中を押してくださるような感じでした。一度「こんなに原作から変えてしまっていいんですか?」と尋ねたら「森ガキさんが描く『愛に乱暴』をつくってください」と。吉田さんにそう言っていただけて、僕も桃子に関して、よりウィットに富んだ、でも繊細なキャラクターにしたいと思ってつくり上げていきました。

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