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江口のりこ&森ガキ侑大監督が“暴発するヒロイン”を生み出すまで キーになったのは順撮り【「愛に乱暴」インタビュー】

映画.com / 2024年8月31日 14時0分

――予告編にもある桃子と真守の会話で、桃子が「違う、違う! 私ね、わざとおかしいフリしてあげてるんだよ」と言うシーンがありますが、ここでカメラは桃子の表情を映さないという選択をしています。最初の段階からそう決めていたのでしょうか?

森ガキ監督:脚本をつくって「これをどう撮ろうか?」と考えた時は、普通に引きで撮りつつ、セリフを言う人を正面から捉えたカットを繊細に丁寧に撮れたらいいかなと思っていたんですけど、それだと新しいものが生まれないな…と思いまして。

 ある種の“昼ドラ”感のあるカットをより映画っぽくするには、ワンカットでずっと江口さんに付いていくようなカメラワークにしたら、面白くなるんじゃないかと思って、これは江口さんにも話してなかったですけど、江口さんに脚本をお渡しする直前に変えたんです。

 桃子、桃子、桃子…という感じで、江口さんの裏からカメラが追いかけるような感じで、あえて表情が映らない方向で勝負しようと決めました。最初は横山プロデューサーも戸惑っていましたし、普通なら「それはちょっと…」と止めていると思います。顔が見たくなっちゃいますよね? それをあえて見せないという演出――やっぱり、わかりやすさを優先して面で見せて切り返し、切り返し…とやってしまうと、想像力がなくなっちゃうんですよね。そうじゃなくて、顔は見えなくとも江口さんのフォルム全体で表現したいなと思いました。かなり勇気のいる決断でしたけど。

江口:私は現場では何にも意識してなかったので、完成した映画を観て初めて「あ、ここは孝太郎さんの表情で見せるんだ」って気づきました。でもやっぱり、ワンシーン、ワンカットの撮影がほとんどだったので、ずいぶんと大胆なことをしているなという思いはありました。シーンの中で「ここは絶対に伝えたい」という部分があるじゃないですか? それがワンカットでうまく情報を伝えることができるのか? という不安があったんですけど、完成した映画を観ると、ちゃんと伝わってきたし、それはすごいなと思いましたね。

●“主演女優”と“監督”という関係で映画を撮る

――これまでお2人は2019年のドラマ「時効警察はじめました」(第4話)やCMでもお仕事をされていますが、主演女優と監督という関係で映画を撮られてみていかがでしたか?

森ガキ監督:「時効警察」の時はね、ちょっといろんなことがあり過ぎて大変で…(苦笑)。

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