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江口のりこ&森ガキ侑大監督が“暴発するヒロイン”を生み出すまで キーになったのは順撮り【「愛に乱暴」インタビュー】

映画.com / 2024年8月31日 14時0分

森ガキ監督:江口さんにすごく助けられたシーンがあって、映画の中でたびたび携帯電話が出てきますけど、本を書いていたり、撮影をしているとつい“道具”になってしまうんですよね。でも江口さんが桃子を演じる姿を見て、それが単なる小道具ではない存在なんだってことに気づかされました。最後にこの携帯電話をどうするかということで、話し合いの末に携帯を捨てるシーンを入れることになったんですけど、編集の段階で「このシーンがなかったら、わかりづらい映画になっていた」と思って、本当に江口さんに助けていただいたなと思いました。

●“捨てる”という行為 江口のりこ“提案”の裏にあった意図を明かす

――原作小説では、日記帳であったのが、映画では時代やメディアに合わせて携帯電話になっています。日記帳と携帯では精神的な“重み”のようなものにどうしても違いがありますが、江口さんの演技、挿入されたシーンによって、その重みがしっかりと伝わってきます。

森ガキ監督:そうなんです。現場で江口さんから提案をいただいた時も「あぁ!そうだよなぁ」と思ったんですけど、携帯電話がただの道具ではなくなる瞬間で、海外の方からのあのシーンについての反響もすごくありました。

江口:普段、私はそこまで現場でいろいろ提案するということはあんまりないんですけど…。携帯電話に関しては、たびたび「携帯電話を見る」という描写があったんですけど、それは桃子自身のためであり、この映画を面白く観ていただくため、お客さんのためでもあるんだという思いがどこかにあったんですよね。でも同時にそれをどこかで「捨てたい」という思いもありました。「これはお客さんのものではなく、桃子のものなんだ」ということを示すためにも、桃子自身が捨てなきゃいけないんじゃないかと。そんな思いで提案させてもらいました。

森ガキ監督:ラストシーンに関しても、現場でいろいろ新しく加えることができたのは順撮りをしていたからだし、そうやって役者さんと一緒に少しずつ築いていくという作業にハマってしまいまして、「次の映画も必ず順撮りでお願いします」ってスタッフにお願いしています(笑)。

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