【50歳記念インタビュー】井浦新が語り尽くす、俳優デビューから現在までの25年間
映画.com / 2024年9月15日 11時0分
僕が海外の映画祭へ参加したりすると、『是枝の現場はどうだったんだ?』って、是枝さんのことばかり質問されたりするんです。そういうところから、是枝さん凄いな! と実感させられる。僕は僕で、自分なりのやり方でこの世界で生き続け、またいつ声をかけていただいてもすぐに入っていけるようスタンバイしていたい。そう思わせてくれる監督です」
■「俳優です」とずっと言えない状況だった
前述の通り、90年代はトップモデルとしてファッション誌やファッションショーで躍動していた。俳優に挑戦しようと思った、当時の心の移ろいはどのようなものだったのだろうか。
「あの頃は移ろってはいなくて。自分のことを俳優とも思っていなかった。『ピンポン』(2002)の頃も自分から俳優とは言えなかった。『ワンダフルライフ』に出演することになるきっかけは、友人のカメラマン・HIROMIXが出した写真集に僕が映っていて、それを見た是枝監督が『彼と話をしてみたい』と興味を持ってくれたところから話が始まるんです。
現場で寺島進さん、内藤剛志さん、谷啓さんら錚々たる俳優の方々と対峙したとき、芝居の道を突き進んできた方々の強さを感じることができました。芝居を突き詰めたいだなんて思ってもいなかった自分が、たまたま是枝さんに声をかけてもらい主演させていただいたわけですが、他の皆さんと気持ちの温度差が明確にあったことに戸惑っていました。
『DISTANCE』の頃も、自己紹介で俳優ですとは言わず、『洋服屋です』と答えたりしていた。当時は自分の中で、俳優とモノ作りの仕事って気持ちを分けてやることこそが、それぞれの仕事への敬意でもあるって考えていたから、『俳優です』とずっと言えない状況でした」
その頃、是枝監督のもとに交流のあった青山真治監督から「ARATAって何者?」と問い合わせがあったという。「僕の友人の映画監督が、ARATA君に興味を持っていたよ」とは聞かされていたようだ。
「当時、モデル事務所に籍は置いていましたが、既にモデルの活動はしていなかった。そんな時に青山監督からご連絡をいただき、居酒屋でお会いしました。すごく必要としてくれていて、『君じゃないとダメなんだ』って話をしてくださって……。芝居ができないと伝えたら、『芝居なんてしなくていいよ』と是枝さんと同じように求めてくださった。それでトライしてみようと出演したのが、『SHADY GROVE』でした。
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