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【50歳記念インタビュー】井浦新が語り尽くす、俳優デビューから現在までの25年間

映画.com / 2024年9月15日 11時0分

 12年前のあの日も、若松監督への思いを口にしながら個展会場を見回し、「ひとりじゃ形にできませんでした。サポートしてくれるさまざまな方のおかげです。映画も一緒ですから。畑が違っても同じなんだな……と気づかせてもらいましたし、本当に勉強になりました。これからも努力を続けていきたい」としみじみ語っていた。若松監督から映画を全国各地の映画館へ届けることの意義を叩きこまれた井浦は、いまも時間が許す限り、変わらず作品を丁寧に、大切に全国のファンのもとへ届けている。

■是枝裕和監督と若松孝二監督からの教え

 若松監督に対しては「感傷的になるというより、いまは全てを抱き締められている。(若松監督を題材にした映画)『止められるか、俺たちを』『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』を作ってしまうところまで来てしまいましたから」と語り、静かに目を閉じる。若松監督から説かれた、舞台挨拶やティーチインを通しての観客との対話の重要性については、興味深い考察を聞かせてくれた。

 「実体験として、色々なところへ連れて行ってもらいましたし、なぜ大事なのかという具体的な言葉ももらいました。僕の中では、もしも是枝さんと出会っていなければまた違ったんじゃないかとも思うんです。僕にとって、ふたりの存在は繋がっているんです。

 『ワンダフルライフ』が公開されてから、是枝さんから『今晩空いている?』と連絡が来て、『シネマライズで19時から映画を観終わった後のお客さんとディスカッションをするんだ。ティーチインというんだけど、僕はそれが大好きでね。良かったら遊びに来ない?』というお誘いでした。

 シネマライズはお客さんとして頻繁に映画を観に行っていた場所ですし、そこで自分がスクリーンに映っていることだけでもミラクルなのに、登壇してトークをするなんて緊張するけど楽しそうって。でも当時、お客さまに映画を届けるという認識はまだありませんでした。映画の撮影が終わったら、俳優の仕事はそこで完結すると思っていました。映画って監督のものだから、俳優が要所要所で舞台挨拶に参加できていれば大筋の役割は果たしているんだろうと。

■「新、おまえは自分の可能性を狭めている。
映画館を満席にできる俳優になれ!」

 若松監督とは作品を届けに都内の劇場だけでもたくさん重ねましたし、地方だって何度もご一緒しました。要は、自分の関わったものに最後までケジメをつけるということなんです。特に主演をした作品なら尚更で、座長として率先して届けに行くことが大事だと。実際に届けに行ってみると、観賞したお客さまが映画の世界観を広げてくれ、作品が育っていく過程を目にすることが出来た。これは、舞台挨拶で登壇しなければ気づけなかったことです。

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