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【50歳記念インタビュー】井浦新が語り尽くす、俳優デビューから現在までの25年間

映画.com / 2024年9月15日 11時0分

 いただいた役で自分のできることを映画の中に閉じ込めたのに、観てくださった方々が色々なことを感じたり、深めたり、脚本に書かれていないところまで解釈を広げていってくれる。お客さまから僕が教わるような感覚になってきたんです。そう感じるようになってからは、『こんな楽しい遊びはないぞ』と思えるようになってきました」

 その若松監督から言われた言葉で、いまでも忘れられるはずもないやり取りの一端を明かしてくれた。

 「それまでビジョンも何もなかった。でも、若松監督から『新、おまえは自分の可能性を狭めている。自分の枠の中だけで、やりやすいところだけでやっていてはダメだ。来た仕事全部やって、何でもできるようになって、映画館を満席にできる俳優になるんだ!』と言われて、自分が目指そうとするものを示してくれました。1日でも早く満席の映画館を若松監督に見せたい……、と思ってやってきました。若松監督と一緒に映画を届ける旅をしているときに、それをちゃんと実現できたことは本当に良かったです。

 また、『何でもやれ』という言葉から気持ちも楽になっていったのですが、ありがたいことに興味を持ってくださる方から声をかけていただき、テレビドラマにも出演するようになりました。映画でキャリアを積んできた僕がテレビドラマに出演することで、映画館にお客さまが少しずつ増えて来るようになってきて、映画とドラマは別ものと思っていましたが、映画館にとっては繋がっているんだなと知ることもできました。どこまでいけるか分かりませんが、チャレンジしがいのある仕事だと思いを新たにしていきました」

■「アンナチュラル」で飛躍的に伸びたフォロワー数と劇場の嬉しい異変

 井浦が話すように、ドラマの出演数が飛躍的に増えた。なかでも、「アンナチュラル」(18)がもたらしたものは、井浦の想像の範疇を超越するものだったようだ。

 「ドラマで僕の芝居に興味を持ってくださった方が、映画館にまで足を運んでくださるようになったという意味では、『アンナチュラル』の影響力が大きかったかもしれません。SNSのフォロワー数もずっと9万人前後で推移していたのに、ドラマの放送が終わる頃には20万を超えていたんです。ちょっと自分の理解が追い付かない感じでした。

 『初めて映画館に来た』というワードが飛び出してきたのも、ちょうどその頃。僕自身も、テレビドラマの面白さというか、そこでしか会えない人たちがたくさんいることを知ってしまった。映画の現場とドラマの現場、会話するワードは変わらないし、何が違うかといえば極端な話、撮影期間くらいじゃないかとも思う。興味を持ってもらえるって、嬉しいことですしね」

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