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菅田将暉が発した“観客の目を引く曖昧さ” 黒沢清監督と初タッグ、改めて芽生えた映画への愛

映画.com / 2024年9月28日 11時0分

●菅田将暉が考えた“黒沢映画の魅力”は? 実は、R指定がついたことがない→これって狙い? 偶然?

――菅田さんは、ロカルノ映画祭での“黒沢監督との初対面”を経て、いわゆる「黒沢作品」に触れていく機会も増えたと思います。鑑賞した作品群から、どのようなイメージを受け取りましたか?

菅田 もともとスリリングな映画が好きなんです。そういう作品を見ている時は「どうなるんだろう」「何が起こるんだろう」と感じることが多いんですが、黒沢さんの作品は、今仰った“曖昧さ”と言いますか、自分の物差しでははかり切れない不気味さのようなものがある。たとえば「この人物とこの人物の距離感、あんまり見たことがないな」といったもの。そういうところが見入ってしまう好きなポイントでもあって、だからこそ自分も“曖昧さ”というものを帯びることができたんじゃないでしょうか。

 あとやっぱり“怖さ”。わかりやすく痛い&苦しいという映画はたくさんありますが、黒沢作品の“怖さ”は、ある種の心地よい刺激みたいなものがあって……ファンタジーなのか、現実なのか本当にわからなくなるという印象もあるんです。

――菅田さんのオフィシャルインタビューを読んでいて知ったのですが、黒沢監督の映画はR指定がついたことなかったんですね。

菅田 そう、そこが面白いですよね。

――“狙い”ですか?

黒沢監督 いえいえ、少し話がそれてしまうかもしれませんが、年齢制限を指定しているところは映倫(映画倫理機構)となります。その指定を担当されている映倫の関係者は、実は映画が大好きで、映画のことをかなりよく知っています。ある基準に従ってドライに割り切りながら、レイティング設定を決めているんですが、実は僕の映画は、この“基準”にひとつも引っかからない。非常に暴力的な要素も多いのですが、ほとんど血も映し出されませんし、何かがあからさまに見えるということもあまりない。

 そもそも“見えていない”方が怖いんですよ。実は“見えている”方が嘘っぽかったりする。画面の奥の方で相当ひどいことをやっているけど、そこが暗がりになっている。だから、何が行われているのかははっきりとは見えないので、これは(映倫の)基準には引っかからない。映倫の人もわかっていると思いますよ。「あ、これはひどい事をしているな」と。でも、基準はクリアしていますからね(笑)。

●転売屋を通じて“真面目な悪者”を描く

――では、菅田さんにお聞きしますが、吉井の「転売屋」という設定についてどう感じましたか?

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