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菅田将暉が発した“観客の目を引く曖昧さ” 黒沢清監督と初タッグ、改めて芽生えた映画への愛

映画.com / 2024年9月28日 11時0分

菅田 僕らの仕事の周辺には、たくさんいると思います。ライブチケットの転売だったり、洋服の転売だったり。ブランドスニーカー、フィギュア、ギターなどなど、事例はいっぱいありましたから、転売屋自体のイメージはしやすかったです。もちろんポジティブなイメージはそんなにありませんが、だからかといって、全員犯罪者なのかというとそうでもないという部分も理解できる。実態がよく見えにくいですが、よくこんな面倒なことをやるなぁとは思っています。絶対大変ですよね。

――黒沢監督は、お知り合いに転売をやっている男性がいらっしゃったそうですね。彼がきっかけで転売屋に興味が抱き、このモチーフはドラマ「贖罪」にも登場しています。どうしてこれほど惹かれるのでしょうか?

黒沢監督 「転売屋」と聞いた時は、本当に悪いことをしているような印象があったのですが、その知り合いというのは、まったく悪人ではありません。いや、ちょっとは悪いんですよ。ただ本当に一生懸命に、真面目に、転売をやっていました。時給換算にしたら、きちんとバイトでもした方がいいのかもしれない。でも、ある組織に所属して働くことが難しかったり、手に職もなく、資産もない。ですから“生きていく”ためにやっているんです。

 普通の社会システムの中では、なかなかうまく生きることができない。少しは悪いことではあるけど、懸命に生きているという姿がなかなか健気で――でも、どこかビクビクしている部分が、 非常に現代的だなと思いました。「いつかこういう人を主人公にしたい」と考えましたね。“真面目な悪者”とでもいえばいいんでしょうか。遊び半分にやっているわけではない部分には、とても好感を覚えたので、いつか使いたいと思っていたんです。

●転売屋・吉井と向き合う日々の中で――「スパッと悪態をつけない。だからこそ“恨み”をかう」

――菅田さんは、吉井を演じるにあたり「いつの間にか色々な恨みを買っている部分」を大切にしていたそうですね。この“いつの間にか”という部分の表現は、なかなか難しかったのではないのかと感じました。

菅田 その辺のチューニングは、最初に監督とやっていました。撮影初日は、荒川良々さんとのシーン。そこでの会話で調整していこうかなと。たとえば、無視しているわけではないのに、相手にとっては無視したように感じてしまうなんてことがあり得ますよね。ものすごい近い距離で、相手の目を見て話さないと「私のこと嫌いなんだ」と感じてしまう人もいる。“受け取り方”は人それぞれなんですよね。

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