1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

役所広司×内野聖陽が語り合う“表現者”の葛藤と欲望――滝沢馬琴&葛飾北斎役で辿り着いたもの【「八犬伝」インタビュー】

映画.com / 2024年10月26日 11時0分

役所広司×内野聖陽が語り合う“表現者”の葛藤と欲望――滝沢馬琴&葛飾北斎役で辿り着いたもの【「八犬伝」インタビュー】

 「ジジイ2人が朝っぱらから、狭い部屋にこもって何やってんだか……」――。

 映画の中で、寺島しのぶが発する、そんな辛辣なセリフに思わず笑いがこみ上げてくる。映画「八犬伝」(10月25日公開)で“ジジイ2人”――人気作家・滝沢馬琴と天才浮世絵師・葛飾北斎を演じているのは役所広司と内野聖陽。江戸時代を代表する偉大なる芸術家であり、親友同士でもあった馬琴と北斎を演じた2人が、俳優の視点で“表現者”の葛藤や欲望について語り合う。(取材・文/黒豆直樹、撮影/間庭裕基)

【「八犬伝」概要】

山田風太郎氏の小説「八犬伝 上・下」を役所広司主演で映画化。里見家の呪いを解くため運命に引き寄せられた8人の剣士たちの戦いをダイナミックに活写する“虚”パートと、その作者である江戸時代の作家・滝沢馬琴の創作の真髄に迫る“実”パートを交錯させて描く。監督は「ピンポン」「鋼の錬金術師」の曽利文彦。

●滝沢馬琴と葛飾北斎――演じるうえで意識したことは?

――滝沢馬琴と葛飾北斎の名は共に知られていますが、2人が互いの実力を認め合う友人であり、「八犬伝」など馬琴の著作の挿絵を北斎が描いていたということは、知らなかったという観客も多くいると思います。2人の関係性を含め演じる上で、大切にされたことは?

 役所:北斎との2人のシーンで、ユーモアのある部分は、内野さんと一緒に、できるだけ拾っていこうというふうな感じに自然となっていたと思います。(映画は)馬琴が48歳の時から始まるんですけど、扮装に時間がかかるんですよね。毎朝、暗い内から入って、よもやま話をしながら、だんだんジジイになっていく姿を見て「老けたね」なんて言いながら(笑)、時間の流れを感じていましたね。

 特に2人で話し合ってというわけではないのですが、馬琴はそんなに動かないので、そこは内野さんがいろいろ工夫して動いたりしてやってくれて、そこから生まれてくる面白みを探しながらやっていましたね。

 内野:北斎に関して、曽利(文彦)監督から「馬琴の部屋に“風”をもたらしてほしい」と言われていました。馬琴さんは、うず高く本が積まれたあの部屋から一歩も出ずにあの大ファンタジーを生み出すんですが、一方で北斎は全国津々浦々を行脚してインスピレーションを得て絵を描くという創作家ですよね。その差異を出してほしいと。

 (北斎は)自由人の極致みたいな人なので、その囚われない規格外の感じを出せたらと思っていました。実は北斎の方が年上なんですよね。でも僕は役所さんより12歳年下なので、そこをどうしたものかと……(苦笑)。尊敬する大先輩を前に後輩感が出ないようにしようというのは考えていました。仲が良さそうに見えつつ「絶対に俺の絵はやらねぇぞ」という意地悪な感じも大事にしたいなと。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください