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安藤チェアマンが総括する第37回東京国際映画祭

映画.com / 2024年11月12日 11時0分

――必要だという思いから一生懸命やる。その熱量に引っ張られるのだと思います。

 安藤:僕の長い人生経験から言うと、全員が賛成する事案というのはなく、一方が出るとどちらかが引っ込む。全てがそういう形で進んでいると思っています。大禍なくやれれば、プラスアルファはなくてもいいという考え方もありますが、僕はリスクを冒してでもやらなければいけないこともあると思っています。自分に鞭打つようなことではありますが(笑)。本当にいいのかといつも迷いながら仕事をしています。

――是枝裕和監督の提案で始まった「交流ラウンジ」も盛況でした。

 安藤:映画祭には自然発生的に人が集まって、飲んだり食べたりしながら話をする場所が必要だという意見でした。外国からたくさんお客様を呼ぶことも大切ですが、交流する場も作らなくてはいけないと。もっともだと思い、この4年間、試行錯誤を続け、最初は「DRAWING HOUSE OF HIBIYA」で、次に「有楽町 micro FOOD&IDEA MARKET」で開催し、今年「カフェラウンジLEXUS MEETS...」を使用できたことでようやく環境が整ったように思います。もちろんこれまでの場所も素晴らしかったのですが、LEXUS MEETS...は、来場した多くの人の目につく、映画祭のど真ん中にあり、便利な場所でもある。

――交流ラウンジで、黒沢清監督が「アジア映画学生交流プログラム 2024」のマスタークラスで話されている時に、道を歩いている方が「何やっているのだろう? ああ、映画祭をやっているんだ」とのぞく姿を見かけました。残念ながら今までの会場ではそれが叶わなかった。野外上映もありますが、そういう映画祭のにぎわいを感じられたのもいいなと思いました。

 安藤:それがお祭りなんです。

――理想は、交流ラウンジを開催している以外の時間も、あの場所が解放され、映画祭に訪れた各国の映画人、関係者、記者、学生たちが集える場所であることなのですが。

 安藤:僕もそうあるべきだと思っています。もう一つ、基本的に映画祭は、映画の専門家、映画ファンを対象にしていますが、僕はあまり映画を見ない人にも、一つの“お祭り”として参加したいと思う雰囲気を作りたいと思っているんです。映画祭を常に楽しみにしてくださる方はもちろん大切にしつつ、年に1本しか映画を見ない人にも映画祭を認知してもらいたい。ちょっと出かけてみようという気にさせる要素も必要だと。

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