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人間が仮想世界に没入する理由は――サバイバルゲームに潜入し全編撮影したドキュメント「ニッツ・アイランド 非人間のレポート」監督インタビュー

映画.com / 2024年11月30日 8時0分

───前作“Marlow Drive”はオンライン・ゲーム〈グランド・セフト・オート:V〉(以下〈GTA〉)で撮影されましたが、本作は〈DayZ〉で撮影されています。なぜ今回このゲームを選んだのですか?

ギレム:私たちは当初、〈GTA〉で別の映画を作りたいと考えていました。でもすぐに、現実感や没入感を強める空間音響を備えたアバター同士が直接会話できるゲームに興味を持つようになったのです。〈DayZ〉ではこの特徴によって、人と人との出会いが貴重で特別なものになっています。広大なマップ上で、僕たちは80人のプレイヤーたちと共に、非常にストレスの多い環境にいます。したがってプレイヤーとプレイヤーとの出会いがあれば、それは必然的に極めて強く、強力なものになります。

───〈DayZ〉の原理を説明していただけますか?

エキエム:〈GTA〉は消費主義的なゲームで、架空のアメリカンドリームに基づいていますが、〈DayZ〉は、東ヨーロッパの荒涼とした黙示録的な田舎が舞台のサバイバル・ゲームです。車や豪華なアパートを集めるゲームとは対照的に、ここでは単に森の中に小屋を建て、一人、あるいはグループで生き残ることを目指さなければならない。生き延びるために食料、水、医薬品を探すというかなり現実的なシミュレーションの中にいます。そしてその世界では他人との交流も不可欠です。私たちが“Marlowe Drive”で探求したかったこととは、まさに対極の世界です。

カンタン・レルグアルク(以下:カンタン):“Marlowe Drive”の後、僕たちは個人への単独インタビューしかしていないことに気づきました。そこで、人がグループで集まるゲームを探しました。登場人物の一人レネは、コミュニティを立ち上げ、同時にYouTubeで動画も作っていたのですが、「人が集まって一緒に物語を作っている」と動画で話していました。私たちは、いわゆる“ゲーマー”が持つステレオタイプな「個人」のイメージに当てはまらない、共同で何かをするという物語にとても惹かれたんだと思います。

───撮影中はどのように役割分担をしたのですか?

エキエム:“Marlowe Drive”で、ゲームの中の人たちに会って話しかけることを始めました。ドキュメンタリーの古典的なインタビューを再現するというアイデアで、いわば観客とアバターの仲介をしたんです。このアイデアは本作でも用いました。

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