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人間が仮想世界に没入する理由は――サバイバルゲームに潜入し全編撮影したドキュメント「ニッツ・アイランド 非人間のレポート」監督インタビュー

映画.com / 2024年11月30日 8時0分

ギレム:撮影クルーは僕ら3人だけでした。僕たちは監督、ジャーナリスト、技術者、カメラマンなど、様々な役割をごく自然に引き受けました。エキエムがメインのコンタクト・パーソンで、カンタンがカメラマン、そして僕が技術者。これらの役割は、ゲームの内外で役立ちました。いわゆる撮影日には、まずゲームの外から準備を始めます。メッセージ送受信のプラットフォーム“Discord”を使ってプレイヤーに連絡を取り、彼らがどこにいるのか、あるいはマップのどこからログインしようとしているのか、どこで会うことができるかを調べます。そして一連の質問を準備します。一度ゲームに入ったが最後、食料、飲み物、衣服、光を見つけることが不可欠になります。また、病気にならないようにし、薬を見つけ、できるだけ長続きさせるためにあらゆる事態に備えなければなりません。取材1件に4~5時間、あるいは6時間程要しますので、多くの準備が必要です。実際、撮影場所に行くだけでも時間がかかります。取材対象者が、僕らがいるところから2時間も3時間も離れていることもしょっちゅうでした。

エキエム:〈DayZ〉の世界は「パラレル・リアリティ」(並行現実)なので、昼夜のサイクルも違います。撮影が昼になるのか夜になるのか、どのサーバーで撮影するのかなど、まったくわかりませんでした。様々なことを組織化する必要もありました。1秒でも長く生きるためのリソースを確保するために、可能な限り適切な時間に適切な場所にいる必要がありました。そのために、同時に複数のサーバーでアバターを準備しなければならなかったのです。また、ゲームの仕組みやアップデートに対応しなければならず、作業が複雑になることもありました。

 撮影し始めた頃、非常に厄介な〈DayZ〉のアップデートがありました。開発者が、寒い時に人が発する白い息を追加したんです。それからは撮影中は常に、画面上のあらゆるものの前に白いもやが発生していたため、それに対応しなければならなりませんでした。カメラマンのカンタンは、このもやにガマンできなかったので、彼の隣で常に火を焚いて暖かくなるようにし、もやがない状態で撮影できるようにしなければなりませんでした。このような話はいくらでもあります。カメラマンや私のアバターが飢え死にないように、緊急でギレムが羊を2、3頭殺さなければならないこともありました。アバターは生きた操り人形のようなもので、仕事を続けるためには食事を与えなければならなかったのです。

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