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持っている株、これから買いたい株。その企業の財務分析をしてみませんか?・・・その2

ファイナンシャルフィールド / 2021年9月19日 3時30分

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「その1」の財務分析で、収益性分析と安全性分析を見ていきました。今回は前回お話しできなかった「成長性分析」と「生産性分析」について見ていきたいと思います。

財務分析とは? どのように利用するの?

財務分析とは、貸借対照表や損益計算書等の財務諸表の数値からその企業の収益性や安全性、成長性などを分析したり、業界標準値や同業他社等と比較してその企業を評価したりすることをいいます。
 
その分析結果を基にして現状を把握し、企業は今後の経営判断をします。今回はその分析にどのようなものがあるのか、どのように計算され、またどのように使われるのかを見ていきます。
 

どのような分析があるの?

「その1」のおさらいですが、一般的に財務分析は一般的に下記の4つに分類されます
 

・収益性分析
・安全性分析
・成長性分析
・生産性分析

 
今回は、このうちの成長性分析と生産性分析について見ていきます
 

1.成長性分析

「その1」の最後にお話ししましたが、財務分析は単年度だけ見てもあまり意味を持ちません。特に成長性分析においてはその傾向が強いものです。
 
経営は一時的にもうかればよいというわけではありません。もし、そのような考え(経営)であれば、その会社の株価は高騰→暴落というイメージになってしまいますし、株主にも社会にも信用されない可能性があります。
 
具体的には売上高増加率や限界利益増加率、自己資金増加率などを過去数か年と比べるとよいでしょう。現実的には3年程度ですと、今回のように新型コロナの影響や景気の影響なのか企業努力なのかを区分するのが難しいですし、10年ですと長すぎるので5年くらいで見るのが良いかと思います。
 
使われる主な指標は以下のとおりです。
 

過去3年売上高増加率=(前期売上高÷前々期売上高+当期売上高÷前期売上高)÷2×100
 
過去3年自己資本増加率=(前期自己資本÷前々期自己資本+当期自己資本÷前期自己資本)÷2×100
 
過去3年限界利益増加率=(前期限界利益÷前々期限界利益+当期限界利益÷前期限界利益)÷2×100

 
自己資本増加率ですが、これは規模の拡大だけであればその上段の売上高の増加や総資産の増加で確認できますが、実質的な成長という面では自己資本の増加が重要な意味を持ちます。
 
また、利益も限界利益を今回使ったのは、売上高が伸びていてもそれ以上に材料費や外注費の支払いが増えていれば実質的な成長とはいえませんので、材料費や外注費等の変動費を引いた限界利益で成長性を見ています。
 
さらに、別の角度から成長性を見ていきますと、
売上高研究開発比率=研究開発費÷売上高×100
 
売上高研究開発比率は、その企業が売上高において、研究開発費としてどの程度を費やした(投資した)のかがわかり、それにより企業の成長の程度も予測できるというものです。
 
一般的にですが、研究開発を行っている会社は売上高利益率が高い会社が多いです。また、大企業ほどその比率は高く総務省統計局の「科学技術研究調査」(※)によると、従業員300人未満の会社では2.3%に対し1000~2999人の会社では3.7%となっています。
 

2.生産性分析

生産性分析とは、以下の項目を見る手法です。
 

・従業員や設備などといった、“経営資源”をうまく活用できているかどうか
・上記の活用により、売上だけでなく、付加価値を創り出すことにつながっているかどうか

 
また、以上のようなことを見る生産性分析では、指標として「付加価値労働生産性」というものがよく使われます。
 
付加価値とは、

・従業員の働き方における改善
・設備投資によって得られる効率の向上

 
など、新しく加えられた(付加した)もののことをいい、付加価値が大きいほどその企業の生産性は高いといえ、人件費(労務費)+地代家賃(賃借料、リース料を含む)+減価償却費+租税公課+支払利息・割引料+経常利益のことを指します。
 
使われる主な指標は以下のとおりです。

1人あたりの労働生産性=付加価値額÷平均従業者数
限界利益労働分配率=人件費合計÷限界利益×100

 
労働分配率は低いほど望ましいですが、人材確保や従業員のやる気等を考慮すると限界利益を大きくすることを第一に考えるほうが良いです。
 

さまざまな指数を参考にしてみよう

「その1」と今回は財務面から会社を見ていきました。「その1」でもお話ししていますが、財務分析は複数年度で対比するものです。また、「その1」と今回用いた指数以外にもさまざまな指数があります。
 
直接会社の業績とは一見関係なさそうな指数もあります。例えば公表はされていませんが、従業員定着率というものもあります。これは直接株価に影響を及ぼすことはありませんが、当然定着率の高い会社、特に技術系の会社では技術の蓄積や生産性の向上につながりますので結果会社の成長ひいては株価の上昇につながる可能性を秘めています。
 
公表されていない数字を見つけるのは困難ですが、違った切り口の指標もあることがあるということを知っていただければと思います。
 
出典 (※)総務省統計局「科学技術研究調査」
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表
 

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