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相続税対策のために孫と養子縁組。節税にはなるけど本当にリスクはないの?

ファイナンシャルフィールド / 2022年1月21日 13時0分

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相続税対策のために孫と養子縁組して節税しよう。そう思っている方、その養子縁組にはリスクが存在しています。節税目的の養子縁組で不安な場合に知っておきたい、そのリスクについて解説します。

相続税の概要

相続税とは、相続による資産の移転に課される税金です。具体的には、相続財産から負債などを差し引いた価格が3000万円+600万円×法定相続人の数を超えた部分に発生します。
 
法定相続人とは法律で定められた相続人となる方で、血縁関係のある実子だけでなく、養子も含めることができます。通常、子が生きていれば子が優先され、孫は相続人とならないのですが、孫を養子にして法定相続人を増やすことにより、相続税を節税することができるのです。
 

節税目的で孫と養子縁組をするリスク

前述のとおり、節税目的で孫とする養子縁組には一定のリスクがあります。具体的には次のようなリスクが挙げられます。
 

養子の人数制限

法定相続人に含めることができる養子の数は、無制限というわけではありません。
 
実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までとなっているため、家族構成によっては節税を目的に孫養子縁組しても、思うように節税できないということも起こり得ます。
 

そもそも養子縁組自体が無効とされることもある

節税目的の養子縁組が問答無用で対象となるわけではありませんが、場合によっては無効となってしまいます。
 
国は、節税目的の養子縁組が広がりつつある現状をある程度は追認している反面、次のような場合は養子縁組が無効となり、養子となった孫が法定相続人と認められないケースがあります。

●明らかに節税が目的で、全く養子縁組の意思がない場合
●相続税の負担を不当に減少させる結果になると認められる場合

どちらも明確に定義があるわけではないため、事例ごとに判断が必要となります。不安であれば税理士など、相続税に詳しい方に相談することをおすすめします。
 
参考までに平成29年1月の最高裁判例においては、相続税の節税のための養子縁組であっても、直ちに養子縁組の意思がなく無効であるとはいえないとしており、たとえ節税目的であったとしても、他の事情から養子縁組の意思があると判断されれば即無効とはならないようです。
 

2割加算の対象となる

亡くなった方の子など一親等の血族や配偶者である場合を除き、相続財産を取得した相続人には本来の相続税の2割に相当する額が加算されます(いわゆる相続税の2割加算)。
 
養子にした孫も2割加算の対象となるため、予想していた金額で相続税が節税できなかった、という結果とならないように注意が必要です。
 
ただし、子が既に亡くなっている、あるいは子が相続権を失ったことで孫が代襲相続して相続人となっている場合であれば、2割加算は適用されません。
 

相続争いの原因となる可能性がある

一部の孫のみ養子縁組をして相続ができる、また本来は相続人でなかった孫が相続人となることで他の相続人の相続分が減少するなど、こういったケースでは不公平感から相続争いに発展することもあります。
 
養子縁組によって相続税を抑えられても、他の問題が起きてしまっては元も子もありません。安易な孫との養子縁組は、相続争いの原因となる可能性があることも覚えておいてください。
 

まとめ

相続税の節税対策として孫との養子縁組は有効ですが、リスクを考慮せずに実施してしまうと思うような結果を得られないこともあります。養子の人数制限や相続税の2割加算、相続争いのほか、場合によっては節税目的での養子縁組を否認されることもあるため、リスクについては必ず確認しておきたいところです。
 
養子縁組をして孫を相続人にしようとする場合、できる限り税理士など専門家に相談した上で実施することをおすすめします。
 
出典
国税庁 No.4170 相続人の中に養子がいるとき
国税庁 No.4157 相続税額の2割加算
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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