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障害年金のウソ? ホント?(21)「手帳の申請で年金ももらえる?」

ファイナンシャルフィールド / 2022年6月22日 9時10分

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障害年金の相談を受けていると、ちょっとした思い違いをしている人や、誤ったうわさ話を信じ込んでいる人が少なくないことに気づきます。そうした人たちは、後になって「しまった! 」となりかねません。   そんなことにならないために、あらかじめ正しい知識を身に付けておきましょう。   第21回は「手帳の申請で年金ももらえる? 」です。

障害者手帳と障害年金は、まったく別のもの

「障害者手帳の交付を申請すると、障害年金ももらえるものと思っていた」と言う人がいました。そう思っていたため、すでに障害年金の請求ができる状態だったのに、何ヶ月も請求をせずに過ごしていたとのことでした。
 
障害者手帳と障害年金。用語は似ていますが、まったく別のものです。
 

障害者手帳は、福祉制度の1つ

障害者手帳は、福祉制度の1つで、交付されると福祉関係の支援や扶助を受けやすくなります。
 
障害の種類によって、身体障害者手帳、療育手帳(具体的な名称は、自治体によって異なります)、精神障害者保健福祉手帳の3種類があり、都道府県知事、政令指定都市市長、中核市市長らの名前で交付されます。交付申請は、市区町村の窓口で行います。
 

障害年金は、保険制度の1つ

一方、障害年金は、保険制度の1つです。受給権を得ると、基本的には被保険者たちがこれまでに納付した保険料などから、年金の形で支給されます。
 
したがって、請求にあたっては、福祉的性格のある20歳前障害の場合を除いて、保険料納付要件が厳しく問われます。障害年金の請求は、年金事務所(一部は市区町村)の窓口で行います。
 

障害者手帳がなくても障害年金を請求できる

このように、障害者手帳と障害年金は、性格が異なりますし、その根拠法令も認定基準も別々です。
 
このため、障害者手帳を持っていなくても障害年金を請求できますし、障害年金を受給していなくても障害者手帳の交付を受けることができます。
 

障害等級は、関連があったりなかったり

障害等級に関しても、傷病によって関連があったりなかったりします。
 
関連があまりない場合としては、例えば、心疾患で人工弁を装着した人は、身体障害者手帳は1級ですが、障害年金は原則として3級です。また、腎疾患で人工透析を受けている人は、身体障害者手帳は1級ですが、障害年金は原則として2級です。
 

視力障害や視野障害は、等級が似通っている

一方、比較的に関連があるのは、視力障害や視野障害で、等級が似通っています。これには障害年金が認定基準の改正を重ねて、障害者手帳の等級に合わせてきたという歴史的な背景があるようです。
 
聴覚障害も等級は異なりますが、軽重の判断が似通っています。
 

精神障害者保健福祉手帳は、年金証書と同じ等級に

また、精神疾患の場合も関連が濃厚で、障害年金の年金証書を市町村の担当部署に提出すれば、同じ等級の精神障害者保健福祉手帳が交付されます。通常は必要な医師の診断書が、この場合は不要ですので、経済的に助かります。
 
障害年金の請求と精神障害者保健福祉手帳の申請を併せてしようと思っておられる人は、障害年金の請求結果が明らかになるまで、精神障害者保健福祉手帳の申請を待ってみてもよいかもしれません。
 
ただし、精神障害者保健福祉手帳で同じ等級の障害年金を支給してもらうことはできません。障害年金の請求には医師の診断書が求められます。
 
「手帳の申請で年金をもらう? 」の「ウソ・ホント」は「ウソ」といえます。
 
 
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

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