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雇用保険への加入条件が拡大される! 収入が少なくてもメリットはあるの?

ファイナンシャルフィールド / 2024年3月10日 23時10分

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雇用保険加入要件のひとつである、所定労働時間の下限を引き下げる方針が示されました。改正内容とあわせ、雇用保険の給付内容を解説します。

週10時間以上で雇用保険加入に

政府が昨年6月に閣議決定した、いわゆる「骨太の方針」の中に、「週所定労働時間20 時間未満の労働者」に対する雇用保険の適用拡大が盛り込まれていました。その労働時間の条件が、「週10時間以上」となる見通しであることが、昨年末に明らかになりました。
 
2022年度末までの被保険者数は約4457万人ですが、この見直しにより約488万人増加すると見込まれています。なお、さまざまな給付については、現行の被保険者と同様の給付水準となる見通しです(※1)。
 

見直しの背景

政府の現状認識として、生計維持の方法や働き方の多様化が進んでいることを記しています。ひとつには、女性や高齢者の労働参加が進んでいることを取り上げており、短時間勤務や切実な理由からの就業が広がっていることなどを指していると思われます。
 
また、コロナ禍を経てワークスタイルが多様になってきたことも挙げており、こちらは兼業・複業の容認、場所にとらわれない働き方の拡大などの変化を指すものと考えられます。
 
これらを踏まえて、「雇用のセーフティネットを広げる必要がある」と判断されました。なお、事業主の準備期間に配慮し、2028年度中に施行する計画となっているので、その間にさらに変化が進むかもしれません。
 
週10時間以上で加入なので、厚生年金や健康保険の106万円の壁(週20時間以上かつ月8万8000円以上等の条件)より先に適用されます。
 
例えば、1日5時間のパートを週2回、あるいは平日5日の夜だけ2時間のバイトでも対象になるので、かなり基準が下がった印象です。
 
厚生年金や健康保険は、保険料で手取りが減るため「壁」を超えるのを避ける人が多かったのですが、雇用保険はどうなのでしょう。新しい壁の出現なのでしょうか?また、週20時間未満の就業でも、雇用保険加入にはメリットがあるのでしょうか?
 

保険料負担と給付内容

保険料の従業員負担は、2023年度では一般の事業で賃金の0.6%です。時給1200円で6時間勤務を週3回(月18時間)だと、月に9万円前後になります。賃金が9万円の月なら保険料は540円。あわせて標準報酬月額の15%ほどになる厚生年金と健康保険に比べれば、負担感は少ないといえます。
 
では、どのような時に役に立つのか、主な給付内容を取り上げてみます(※2)。
 
(1) 失業手当
正式には基本手当と呼びますが、離職理由、賃金、保険加入期間に応じて90日間から330日間まで支給されます。
 
(2) 育児休業給付、介護休業給付
育児休業期間中あるいは介護休業期間中に、休業前の賃金の約2/3または1/2が支給されます。
 
(3) 教育訓練給付制度
指定された講座受講や資格取得の費用を、一定割合まで補助します。
 
(1)は離職時だけですが、短時間のパートにも職探し中の収入支援があるのは心強いものです。
(2)は、雇用保険でもっとも身近な給付でしょう。育児と介護は、多くの方が直面する大きなライフイベントといえます。
(3)は、指定講座その他条件により受講費用等の最大20%から70%(上限あり)が支給されます。国家資格やIT系など、ステップアップをするための自己投資金に対する負担を軽減してくれます。
 
厚生年金や健康保険は、保険料は高いけれども日常の病気・ケガや年金で、必ずといっていいほどお世話になるのに対し、雇用保険については、必要時は威力があるけど、全員が必ずしも使うとは限らない、しかしかわり保険料が安くなっています。しかし、必ずではなくても、職探し中や育児・介護時の収入を補う手段があることを、頼もしく思うのではないでしょうか。
 

セーフティネットとしての安心感

月540円の保険料だと10年で6万4800円。育児休業や介護休業で給付を受ければ、すぐに上回る額です。休業給付がなくても耐えられる蓄えがあればよいのですが、そんな人ばかりではないです。また、このような公的給付を知っていれば、自分で準備する分は抑えられ、他の目的に振り分けられます。
 
雇用保険は、「労働者の」生活安定や雇用促進、そのための教育訓練など生活基盤を安定し支えるための保険です。残念ながら自営業者にはありません。つまり、雇用される人を守る制度なのです。
 
月10~20時間の労働に対する給付額でも、その重みが大きい方なら、雇用保険加入は大きな安心につながると思います。ただ、支給を受けるには一定の被保険者期間などの条件があります。保険料を払うなら、いざという時の支給条件もしっかり確認しておきましょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 第189回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会
(※2)厚生労働省 雇用保険制度
 
執筆者:伊藤秀雄
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

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