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改正された「相続時精算課税制度」を活用しよう! <その2> 相続時精算課税制度を使って年間非課税贈与枠を実質的に拡大する方法

ファイナンシャルフィールド / 2024年4月21日 9時30分

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<その1>では「相続時精算課税制度」の改正によるメリットとして、「生前贈与加算の影響を受けずに毎年110万円の基礎控除を使え、相続時まで非課税枠が確保できる」ということを説明しました。   本記事ではその応用として、改正後の相続時精算課税制度と従来の暦年贈与を組み合わせて使った場合、年間非課税贈与枠がどうなるか、確認したいと思います。

年間贈与枠を、2倍の220万円に増やせる?

贈与税は、受贈者ごとにかかります。例えば、父が長男に改正後の相続時精算課税制度を使って財産を生前贈与する場合は、長男が受贈者になります。
それでは、長男が父母それぞれから相続時精算課税制度で贈与を受けた場合は、年間220万円の基礎控除を受ける、ということでしょうか? これについて、いくつかのケースに分けて検討してみましょう。
 
図表1は父母を贈与者・長男を受贈者とし、改正後の相続時精算課税制度による贈与と暦年贈与による贈与を組み合わせる場合、どの方法を選べば長男に最も多くの金額を非課税で贈与できるか、検討したものです。
 
図表1
ケース1

贈与者 贈与の手段 年間非課税贈与枠(基礎控除額)
相続時精算課税制度 父母2人合わせて年間110万円。非課税枠は父母からの贈与額に応じて案分される。
相続時精算課税制度
合計 110万円

 
ケース2

贈与者 贈与の手段 年間非課税贈与枠(基礎控除額)
相続時精算課税制度 年間110万円
従来の暦年贈与 年間110万円。ただし、生前贈与加算の制約あり(2024年以降の贈与年から4~7年の間に母が死亡し、長男が財産を相続した場合、母の生前4~7年以内の贈与額は、相続税の対象となる)。
合計 220万円。ただし、うち110万円の一部には相続税が課税される可能性がある。

 
ケース3

贈与者 贈与の手段 年間非課税贈与枠(基礎控除額)
従来の暦年贈与 父母合わせて、年間110万円。ただし、生前贈与加算の制約あり(2024年以降の贈与年から4~7年の間に贈与者が死亡し長男が財産を相続した場合、贈与者の生前4~7年以内に行った贈与額は相続税の対象となる)。
従来の暦年贈与
合計 110万円。ただし110万円の一部には相続税が課税される可能性がある。

筆者作成
 
ケース1は、先述した問いかけのように、父母が2人とも相続時精算課税制度を使って、長男に財産を贈与する場合です。残念ながら、このケースでは、110万円の非課税枠は増えません。
非課税枠の総額は受贈者1人当たり年間110万円と決まっているので、複数の直系尊属から贈与を受けた場合は、父母それぞれからの贈与であっても、非課税枠は110万円のままです。
 
注目すべきは、ケース2のように、父が相続時精算課税制度、母が従来の暦年贈与を利用して、長男に財産を贈与ずる場合です。
この場合、父からの贈与には年間110万円の贈与枠が保証されます。一方で、母からの贈与は生前贈与加算の制約を受けますが、長男に贈与してから4~7年(贈与した年によって異なります)以内に母が死亡しなければ、年間110万円の非課税枠が使えることになります。
 
つまり、父母それぞれからの贈与について、相続時精算課税制度と従来の暦年贈与を使い分けることにより、「最大年間220万円の贈与を、非課税でできる可能性がある」ということになります。これは従来の制度より有利な、検討に値するやり方だと思います。
 
なお、ケース3のように父母それぞれが暦年贈与を使う場合は、非課税枠は220万円にならず、110万円のままです。加えてこの場合は、2024年から生前贈与の加算の制約を受けることになるので、今までより使い勝手が悪くなります。
 

まとめ

本記事では、改正後の相続時精算課税制度と従来の暦年贈与を使い分け、1年当たりの基礎控除額を増やすコツについて説明しました。<その3>では、改正後に相続時精算課税制度を使う際の、その他のメリットや注意点について解説したいと思います。
 

出典

国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
国税庁 令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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